第百六十六話 「いいな~違い」
波乱の幕開けとなった体育祭。
孝也と駿、八千草と菊池が青組陣地に集まっていた。
「結局のところ、
タロ氏は高坂先輩に目論見通り近づくことに成功したわけだ。
平民といえど、あの緊迫した状況で自然に潜り込めてしまうのだから
忍者としての素質があるのかもしれんな。」
孝也の一言に
菊池が駿に対して
「え、どういうこと?近づくことに成功したって?」
「それがね、開会式の時にタロちゃんが高坂先輩の方を
指さして、いいな~って言ってたんだ。」
「え、タロちゃんが?」
「うん、でもそれはきっとあの様子を見る限りだけど
テントの日陰に座っていることをいいな~って
言ったんだよね、タロちゃんは。」
「え、それはただ単に休憩したかったってこと?」
「さっそくテントで居眠りしている様子を見るとおそらく。
でもそれを孝也は、
いや、将軍は高坂先輩に気があるとすっかり勘違いしている。」
「あーー、なるほどね。」
一緒に話を聞いていた八千草が
「ほんとうにタロちゃんは勘違いされやすいね。」
「ほんとだよね。
さっきも美名城先輩が助けてくれたりって
ほんとタロちゃんはついてるよ。」
太郎の強運に二度頷く菊池と八千草だった。