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第百六十五話 「波乱の幕開け」
美名城は太郎に近づき
「タロちゃん、あなたって子はほんとに。
こっちが冷や汗ものよ。
いい、そこで大人しくしててね♪」
「別に俺は
美名城先輩の息子でも何でもないんですけど・・・」
「同じようなものよ。大人しくしててよ。」
「は~い」
仲よさそうに話す二人を見ていた高坂に
美名城は
「あかねちゃん、
ここにいるタロちゃん、実はいい子だから
ちょっとだけここで面倒見てあげて、お願いね。」
「は、はい」
と太郎のことをあかねに託した。
こうして波乱の幕開けとなった体育祭は
暑い熱い展開を繰り広げていくこととなる。
そんな展開をまったくもって
予想だにしていない太郎は
肘をついたまま
大人しく座っているのかと思いきや、
物音ひとつ立てることなく
ひっそりと目をつむっていた。