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第百六十三話 「のけぞり気味に驚かす太郎」
このとき、太郎を案じていたのは
孝也と駿だけでなく、八千草と菊池もまた
心臓バクバク状態で見守っていた。
すると太郎は、高坂の前に立つ
つい先ほど高坂に孝也の言う戦略的告白をした
男を始めて認識する。
「あれ、なんか目の前にいますけど?」
と指さし、高坂に尋ねた。
周囲もその一言に
「えーーーー!今更??」
とのけ反り気味に驚く。
高坂は
「そうだね。
彼は今、私に告白したの!」
「え?なんの??」
再び周囲はのけ反る。
「それは・・・」
高坂が答えるのに間が少し空くと
尊敬し、心から惚れている。
だから付き合ってくれと告白している。」
はっきりと聡明なまでの答えを
言ってのけたその男子生徒に
周囲の見る目は少しだけ、ほんの少しだけ優しくなっていた。
それを聞いた太郎は
「それはそれは・・・
で、どうするんですか?」
誰も聞けない質問を高坂に投げかけた。
周囲はこう思った。
あいつこそ何奴!?