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第八話 「期待が高まる季節」
時は老若男女問わず
誰に対しても平等に
同じテンポとリズムで流れている。
だが
その時のテンポとリズムは
充実度によって異なることがある。
楽しい時はあっという間に時を刻み、
つまらない時はスローモーションとなってゆっくりと時が流れる。
いくら時の流れが平等だと理屈で分かっていたとしても、
そう感じるのは人間の嵯峨であろう。
あっという間に
中間試験、期末試験と終わり、夏が来た。
夏には人生最大の休暇『夏休み』が控え、
花火やら海やらバーベキューやらと
楽しいイベントごとがてんこ盛り。
無論、夏の課題や夏期講習もあるにはあるが、
夏休み開けの『体育祭』に向けた準備なんかは
楽しいらしいと孝也が嬉しそうに語っていた。
なんでも孝也曰く、
夏は女子が一番輝く季節であり、
触れあえる絶好のチャンスなのだと。
太郎は孝也ほどのオープンスケベに
開いた口もふさがらないでいた。