第百三十四話 「店長の過去の働き方」
「日が昇る前に海に出て
お昼に戻ってきて
仕込みをして
夕飯時にお店を開いてってどこのブラック企業よ!
っていう生活をしていたの。普通に考えて無理があるでしょ。
でもお兄ちゃんはいつも
『今日はこんな魚が獲れたぞ。どんなふうに調理してやろうか!』
とかそんなことばっかり言って、こっちがどれだけ心配したか。」
「それは無理がありますよお兄さん!!
美名城先輩の心配する想い、強くお察しします。」
先ほどまで夏海に共感していた孝也が
美名城の話に同調すると
太郎が
「もしかして、夏海さん、あ、いや店長の
身体のどこか悪くなったりしたんですか?」
と心配する。
夏海は
「あ、いや、俺はそんな中でも至って健康体だったぜ♪」
とピースサインを送った。
それに美名城は
「ほんとバカ兄ちゃん。」
「バ、バカ兄ちゃん??」
美名城の言葉に
太郎は気持ちが分かる気がしていた。
美名城先輩はお兄さんの前では
いつも強気で接していたけど、
その分、お兄さんの背中を見てきたんだ。
夏海さんはきっと気付いてないだろうな・・・
美名城は
「あの人が止めてくれなかったら、
お兄ちゃんは遅かれ早かれ絶対身体を壊してたもの。」
「あの人?!」
太郎含めた五人は
美名城の言うあの人に素早く反応を示した。