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第百三十話 「素直になれない兄弟」
最難関だった妹の美名城が
海満カフェの店長であり兄でもある
夏海の作った気まぐれランチをよどみなく食していく。
妹なら兄のランチの味は
知っていたはずでは?
と思うのはごく自然な発想で
現に美名城はお店の開店前から夏海の料理を食べていた。
しかし、
どれも挑戦的な料理ばかりで
美名城にとってはあまりいい印象ではなかったのだった。
だから海満カフェには来たとしても、
いつもコーヒーとパンケーキなど
軽食しかとらないようにしていた。
ただ、今回は五人の後輩をランチとして誘ったこともあり、
勇気を出して、しかも店長の夏海の気まぐれランチを頼んだのだった。
結果は、完食。
「このお魚が美味しい♪
きっと海満のお魚の鮮度がいいのね!!」
「ったく、素直じゃねーな!」
どちらも喜んでいるのに素直じゃない
似たもの同士の妹と兄だった。