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第百二十四話 「無言の攻防戦」
美名城の鋭い視線を受けつつも
みんなの注文を聞き取ることに成功した太郎・・・
だったが、ホッと一安心できたのも束の間、
最後に注文を聞いた美名城の無言の攻防戦を繰り広げていた。
「美名城先輩は何にしますか?」
「私は店長の『気まぐれランチ』でお願い」
「え?あ、はい、気まぐれランチですね」
このやりとりの間には(心の中でのやりとり↓)
「どうして、お兄ちゃんじゃなくてタロちゃんが注文とってるの?」
「いや、それは店長は今、調理していて忙しいというか、
これ自体が店長のサプライズというか・・・」
「ただ、お兄ちゃんが注文を聞き忘れたかと思ってたわ」
「いや~、それはないんじゃないですかね~」
「・・・気まぐれランチ・・・期待してると伝えといて」
「承知しました」
なぜか俺の首の裏筋が湿っていた。