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第百二十二話 「注文作戦その2」
まずは笑顔でお水を配り、
お腹がすいている、
または喉が渇いているせいでたっている気を静めにかかる。
「まずはお水でも飲んでから」と言わんばかりに。
そして次はお水を持ってきたトレーを
脇に挟んで持ち、
トレーの裏側がみんなに見えるようにすることだ。
なぜトレーの裏側が見えるようにするのかって?
それは、トレーの裏側に注文表を貼り付けてあるからなんだ。
ここまで注文をとらなかったのは、
この仕掛けにみんなが気付くかな?
とみんなを楽しませるために
あえて注文とらなかった。
店長の粋な計らいだったと
偽りの事実を作り上げるためだ。
正直、
自分のミスをさっきまで弟同然といっていた
俺に尻拭いさせるような兄貴同然の店長の株を
あげることには心底気が進まないが、致し方ない。
俺は穏やかにみんなとご飯を食べたいだけなんだ。