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第百五話 「四者三様の見解」
孝也を追った三人も足を止め
孝也と同じ光景を見ていた。
菊池、八千草には
美名城先輩が太郎を
後輩として可愛がっているように見え、
駿には
美名城先輩が太郎を
特別な存在として認めているように見え、
孝也には
太郎が美名城先輩に平民(後輩)の分際で
気に入られようと馴れ馴れしく接しているように見えていた。
拳を強く握りしめた孝也に
「勘違いしないようにね」
と菊池がささやいた。
そして菊池の方を振り向いた孝也に
「ほら、見てごらん」
と太郎を指さしした先に
太郎の元に集まる同じ看板チームのメンバーがいた。
「おい、なに手こずってんだよ!!」
「あ、すみません。
それが美名城先輩が、ってあれ?いない。」
「何が美名城先輩だ?人のせいにすんな!!」
「すみません、おかしいな・・・」
「ほらね。タロちゃんは看板チームの一員として頑張ってる。
美名城先輩はタロちゃんを一人の後輩として可愛がってるだけよ!」
孝也に自身の見解を諭した菊池だった。