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第九十八話 「とある情報」
「タロ氏は自他共に認める平民だぞ。
忘れたわけではあるまいて。」
「平民から若武者に昇進したのかもしれないじゃん・・・」
「いやいやいや、まさか!!
昇進させた覚えはない。」
孝也と菊池の会話が平行線を辿るなか、
八千草はある可能性について話す。
「これはたまたま廊下を通った時に
タロちゃんと美名城先輩が
話をしているところを聞いちゃったんだけどね。
美名城先輩は看板チームで、
唯一タロちゃんだけを企画担当
として仕事を任されているらしいよ。」
「ただ一人だけの仕事を
タロ氏にだと。
しかも美名城先輩が。それは確かなのか?」
「たぶん、
私も通りがかりだったから、その後の話は
聞こえなかったけど、たまたま聞こえてきた内容が
そういうものだったの。
タロちゃんすごいじゃんって思って♪」
嬉しそうに言う八千草の表情に
少し心のどこかで
違和感を感じていた孝也がいた。