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曖昧恋色Lifes*  作者: 愛流。
1章 変わりゆく日常。
2/24

友人の想い人

初投稿です、温かい目で見ていただきたいです^^

───キーンコーンカーンコーン、



「なー、タカト!頼むって〜」

「いやいやっ、何で俺が……」

「親友の頼みも聞けないのかよっ」

「ハルタ……俺はいつからお前の親友になったんだよ」


昼食時間……拝むように両手を合わせて俺、弥永(ミナガ)タカトの前に必死に頼み込んでくる藍春(アイバル)ハルタ。

これで何回目だ…?

少々呆れた表情でハルタを見ていると、諦めたようで大きくため息をついた。


「くそぅ……ちょっと話してくれるだけでいいのにさー」

「だからそれが嫌なんだって、」


むくれたハルタを横目で流して、俺はそっぽを向いた。

こいつ……ハルタの頼み事は、隣のクラスの先日転入してきた女子生徒に話しかけてほしいということ。

というのも、何を隠そうハルタはその女子生徒が好きなのだ。


「なー!ほんっとに、ダメ?タカトくん」

「くん付けすんなっ、気持ち悪い!」

「ん?タカトってくん付けに弱いの?タカトくんタカトくんタカトくんタカトくn((ry」

「だー!わかったよわかった……」


弱みを見つけたようにニヤニヤしながら俺にくん付けして近づいてくるハルタに、俺は軽くデコピンをして渋々頼みに応じた。


「大体、何で自分で行けねぇんだよ?」

「だ、だって俺…その……タカトみたいにカッコよくないし、」

「…………は?」


何言ってんのこいつ……

俺は俯きながら妙に消極的なハルタの容姿を思いきり凝視した。


容姿といい性格といい、揃いも揃って明るく爽やか元気な男子生徒だろ……!

同じ男子の俺からしても、お前はいい男だと思うけど?


そう心の中で呟くも、実際のところは何も言えておらず。

ただ黙ってハルタを凝視しているばかりだった。


「タカトー聞いてる?」

「ん、あっ!悪い……なんだっけ」

「もー!だから、カッコいいタカトくんにお願いしたいんだってば」

「だから……くんはやめろ!」


ダメだ、キリがない……

俺はとりあえずOKと答えを出しておいて、頭の中では未だに『何で俺が』という言葉を延々とリピートさせていた。


元から女子と話すの自体苦手な為、いくら友達の頼みだからとは言え、さすがのイエスマンな俺も拒み続けてきた。

……が、それももう使えない時が来てしまった…

腹くくるか、

俺は小さな決意を拳に込めて、ハルタにバレないようにその思いをギュッと握り締めた。



───



「よし、行けっ!タカト〜」

「ま、待てよ……タイミングってモンがあるだろ!?」

「でも、このままここにいたら、なんか怪しいってゆうか……」

「んじゃあ、もうお前が行くか?」

「な、なななんでそーなるっ」


放課後、行きたい部活にも(いや、正確には行けないのだが、)行かずに2-Dの教室を廊下から眺めている俺たち。

なんで俺がこんなことを……

ていうか、どうやって話しかけるんだよ!

詳しいことも決めずに来てしまったことに激しく後悔していると、


「……あ」


教室の端の席で、黒い学校カバンに教科書等をしまっている女子生徒の姿を見つけた。

あまり周りでは見ない二つ結びのさらに三つ編みしている髪型で、すぐに発見することができた。


「…………カノン、」


ぽつ、と小さく独り言のように呟かれたその名前は、しっかりと俺の耳に届いていた。

何か親しみのあるような呼び方に、俺は振り返ってハルタの顔色を伺った。


「ハルタ、お前……」

「はっ!え、な、何っ」


声をかけると同時に、過剰に肩を跳ね上がらせて俺に視線を向けるハルタ。

この反応は……なんだよ?


「いや、じゃなくて、いいのかよ?話しかけなくて」

「だ、だからそれはタカトに頼んで……」



───ドンッ



「…………ごめんなさい」


ふいに俺のぶつかってきたのは、先程俺たちが見ていた三つ編みの少女だった。

あまり申し訳なさそうに思ってないようで、仕方なく謝ったように聞こえた。

ちら、と俺を見てきた少女の瞳は驚く程冷めていて、何を言われても動じないといわんばかりの気を放っていた。


「あ……のさ」

「なに、」


思わず怯みそうになったが、ふとハルタの頼みを思い出し、視線を合わせて言葉を発する。

しかし、めんどくさそうに返事をかましてきたその子を前に、俺は為すすべもなくただただ呆然と何も言えずにいた。


「な、ハルタ……」

「ん?」

「お前って、あんなの好みだったのか……?」


意外───それが率直な意見だった。

だってまさか、あんな冷徹な子がタイプだったのかって、初めて知ったものだから。


「え、そ、そんなに驚くこと……なのか?」


気づけば先程俺とぶつかった女子生徒は完璧に姿を消していて、何度か辺りを歩き回ったけど、結局彼女を見つけることはできなかった。



───



「っはぁ〜……見つからなかったなぁ、」


部活が終わり、体育館を走り回ったせいで汗でぐっしょりとした部活着を部室で脱ぐ俺の隣で思いきりため息をつくハルタ。


「つか、放課後俺がぶつかられたの、見てなかったのか?」


もしかして、あれは人違いだったとか?

いやいや、でもあの髪型はここではそうそういないはず。


「あ───あの時、俺、恥ずかしくて、隠れちゃってさ……」


照れくさそうに、控えめに笑いながら呟くハルタを見てると、普通に聞いたはずの俺の顔が、なぜだか熱くなった。


「な、何照れてんだよ!」


思わず目を見開き、慌てて視線をそらす俺を不思議そうな目でハルタは見ていた。



────

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