儀式
それから数日が経ち、皆があまり好まない儀式の日が来た。
この儀式は、月の神を呼び覚ますものだと言う。
月があれば、夜も明るく道を照らしてくれるし、この星にいる魔物を出にくくすることが出来ると言う。
だがその月は、何万、いや何億年も前に無くなったと言う。
今では、月がどんな形をしているのかなんてわからない。
本当にあるのだろうか。
と、言う人もいるほどだ。
まぁ、何億年も前となると、そうなってしまうのかもしれない。
でも、本当に存在したのだ。
数ヶ月だけ。
その時はとても安全な日々が続いたと言う。
それを証明出来るものがあるのだ。
この星は全ての物に神と精霊と妖精がいる。
神は人。
精霊は龍。
妖精は人形みたいな形をしている。
まぁ、竊志と濁黒は神だ。
竊志は植物。
濁黒は魂。
神は人より長く生きる。
竊志は約500年、濁黒は約2000年生きている。
その物は、神がいるから存在出来て、精霊と妖精はその守獣のようなものだ。
話は前に戻るが、月が発見されたのは30年くらい前のことだ。
濁黒が月の祠を見つけ、その中に入ることは出来なかったが、月の妖精と交渉したのだと言う。
「神はいないのか?」
「はい、戻らないのです。」
と、言った感じに。
だから、手を貸す事にしたそうだ。
普通、妖精は、自分の神以外には維持を張るため、
「私の神は、貴方に劣る方では無いので。」
と、断るのだが…。今回は少し様子が可笑しい
「お願いします!このままでは月が無くなってしまいます…。
精霊様のお力も弱まっております。
私にどうか協力ください。」
妖精が土下座をしたのは初めて見たそうだ。
これは大変だと思い、この施設に連れてきたそうだ。
この施設は、奴隷から魔法使いを生育する養成所であり、何かの手助けになるのではと思ったのだ。
そして、この施設で神を探す儀式をする事になった。
力あるものを生贄にする事によって少しでも力を長らえさせようと言う考えだ。
だが、月の神になれるかもしれないと教えられ、子供たちは喜んで儀式に参加する。
「ダツ?また俺の嫌いなあれ?いつになったら終わるの?」
「ずーっと続くぞ。」
濁黒は面倒くさそうに言った。
「僕も出るんですか?」
更夜は微妙な顔で言った。
更夜は前より話すようになった。
最初に会った時は、話も出来なく、嫌な事があればただ呻くだけだった。
だが今では、表情の変化まで見える。
でも、まだ何か違う気がする。
更夜の中にもう1人居るような気がして。
まぁ、話す更夜が可愛くてそんな事はあまり気にならないのだが。
「なんで更夜がこの儀式の事知ってるんだ?」
濁黒は不思議な顔をした。
「セツさんに教えてもらいました。」
濁黒はセツの方を向いた。
「他は何を話した?もしや俺の事や自分のことまで話してないだろうな?」
「あはは〜。」
セツは目を逸らした。
濁黒が攻めた時、時計の鐘が鳴った。
「しょうがないな…」
濁黒は儀式へと向かった。