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拷問と影と予報士と

遠くから鉄の匂いがする。来た。彼奴がきた。来ると思ってたよ、よく来たな。早く俺の処においで…20年前の続きをしよう?


段々濃くなる血の匂い。近い。奴が居る。己れが殺す。20年前の決着を付けてやる。


まだ来ないのか?おいで…走っておいで…俺は此処に居るよ。お前を待ってるよ…動かずに此処で……。


まだ奴は動かない。必ず勝てると自負しているのか。馬鹿らしい…今に見ておれ。


ああ、そう。そうやってもっと殺気を出して…今度は何して欲しい?指の関節から切り刻んで欲しい?早く愉しませてよ…


余裕ぶっているだろう。遊んでいるつもりなのだろう。自我も保てなくなるくせに…


20年前に俺が砕いた肋骨は?もう治った…?きっとまだ治って無いだろうね。その顔はまだ苦痛に歪む?可愛いその顔。


一歩一歩、歩くたびに奴が砕いた肋骨が軋む。肋骨の代わりに入れた鉄板と骨が擦りあう


内臓を抉られる感覚はどうだった?痛みは無いのに骨を砕かれる気分は辛かった?感想を聞かせて、愉しかった?


目の前に奴の家。ついに来た。今度はお前の顔を苦痛に歪めてやる。ドアを開け中に入る


彼奴が入って来た。鉄の匂いが一層濃くなる。微かに骨の削れる音。良かった。治ってないな、顔は歪んでないらしいが。


階段を登り奴の居る部屋の前に立つ。殺気は感じない。己れ殺すのを「遊ぶ」と錯覚してやがる。己れはドアを開ける。


彼奴が部屋の前に居る。何してんだ。早くこいよ。ゆっくりとドアが開き、此方を睨む彼奴が入って来た。


「…久しぶりだな猿神。続きをしに来たのだろう?待ってたよ……」


ドアを開け中に入ると其処には奴の姿。目は既に狂っている。


「…犬神…お前の地位を奪いに来た……始めようか」


小さな家で、二つの大きな妖気がぶつかり合った


来た。やっぱり来た。懲りずにまた虐められに。お前が闇に勝てるものか、次は腕が義手になるぞ。家壊さないで欲しいんだけど…。「猿神」という「拷問術師」と、「犬神」という「ドッペルゲンガー」がぶつかり合う近くで、俺は予想を立てていた。


「やっぱり闇が勝つでしょー…」


「ドッペルゲンガー」が勝つと予想を立て、「未来予報士」はその場を後にした。

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