子供に好かれる人殺し
買い物のお陰で自信をつけて、最近は近くの公園まで散歩してる。公園ならせいぜいいるのは人の子か親子連れ位だ、人の子の相手をすれば暇潰しにもなる。近くて良かった。そう考えてる今も俺は公園の砂場沿いを歩いて居た。
「……眠い…」
ベンチにでも座って寝よう。そう思って座れば、騒がしい声と共に数人の人の子が寄って来た。近所の奴ら、ほぼ毎日ここに居る。
「ねーねーあそぼー!!」
「おにーちゃんおんぶ!!おんぶ!!」
「肩車してー!!」
「ねー鬼ごっこしよーよ!!!」
…煩い、耳が痛い
「いっぺんに喋るな…俺は眠いんだよ……」
「ヤダーー!!!遊ぶのー!!!!」
「おんぶして!!ねえおんぶ!!」
「ぼくが先だよー!!!」
「はーやーくー!!!あそぼーー!!!」
静止の声をかけても逆効果。中には調子に乗り叫び出す奴も居る。お前らは猿から進化してないのか。
これ以上言い合う気は無い。だからといって相手をするほど俺は元気じゃねえんだよ。仕方なく近くの鳩に相手をするよう説得して放置した。
「ヤダァ!!前もハトさんだったじゃん!」
「ハトさんおんぶしてくんないもん!!」
「飛んでっちゃうから鬼ごっこ出来ないよー!!」
「わんわんと遊ぶのー!!!!」
いつの間にか俺のあだ名は「わんわん」になっていた。理由を聞けば「ワンちゃんみたいだから!」…らしい。その通りだが何故気付いたんだか…。まあとりあえずは遊んでやらねばこいつ等の機嫌は直らないらしい。お陰で眠気も覚めたし…いいか。
「はぁ…承知、相手してやる。鬼ごっこはしないからな…」
「やったー!!おんぶ!おんぶ!!」
「ぼく先ー!肩車してー!!」
「えー!!なんで鬼ごっこダメなのー!!」
「………1人ずつ噺せ…」」
それから暫くこいつ等の言いなりになっていた。素直なぶん人間よか良いけどな。
「家に帰っても…親には言うな」
「「「はーい!!」」」
素直で宜しい。実の所俺はこいつ等には好かれて居るがこいつ等の親には好かれてない。愛想がないとか笑わないとかで気味が悪いのだとか。噺が通じりゃ良いだろ、別に噺ながらへらへら笑うことはないと思うが…今はそうもいかないらしい。常に愛想笑いとは、面倒な世の中になったものだ。
「…お前等、柊とは遊ばないのか?」
柊の方が相手はするし愛想笑いも得意だしこいつ等の親にも気に入られてる。だが、
「ひいにいも好きだけどわんわんのがもっと好き!!わんわんのがいい!!」
…何が根拠なんだろうか、俺こんなに子供受け良かったっけな…考えれば考えるほど眉間にシワが寄り、睨みつける形になる。周りの人間は怯えて離れて行くが何故かこいつ等は怯まない。肝がでかいのか馬鹿なだけなのか…。
「ねえねえ!!わんわん!!!」
1人の声で意識が呼び戻される。
「……何だ」
「ぼく達のようちえんの、先生になってよ!!」
…なにやらおかしな展開…これ……大丈夫か?俺は自分の頬をつねった。
闇も中身は素直だから子供に好かれやすいと思う。子供は理由は特に無く直感で「この人好きっ!」なんだろうね、柊はなんとなく愛想笑いがばれてるからそこまで好かれない。柊自身は好きだけどね。ドンマイ((