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第三章 召喚士

深い緑に囲まれた樹海。

ネドゥサでは嗅ぐことのない空気は新鮮に感じる。

やっぱり私は自然の中に住みたかったな。


任務中なのに全く関係ないことばかり考えてしまう。

私の悪い癖だね。

でも、そうなるほどにクルセウス樹海の風景は綺麗だった。



「景色を見るのもいいけど、警戒も忘れるなよ」



ずっと風景を見てたからリュドに釘を刺されてしまった。



「大丈夫だよ。任務中だってことは忘れてないから」



でも、こういうとこには任務以外で来てみたいとは思っていた。

どんなとこに行ってもそう思ってしまう。



「本当にフェイスは変わんないね。行く先々の景色見続けて飽きないの?」


「うん。何処に行っても同じ景色はないから。そこにしかない景色を見るのが好きなの」



海には海の景色。

山には山の景色。

街中や田舎にもある。

しかも同じ街でも景色は同じじゃない。

それを任務の合間に眺めるのは本当に楽しいことだ。



「雑談はそれまでだ。気配がする」



フォルドが辺りへの警戒を強めたのが分かった。

手に拳銃を構える。

それに反応してミストとリュドも武器を構える。

私も剣を取り、いつでも援護できるように一定の距離をとる。


フォルドの武器は初めて見る拳銃だ。

普通とは違った特徴があるから多分魔道銃だと思う。

通常の弾丸に魔力を添加することで威力を底上げできる。

魔力が主体の私も使いたいけど銃の扱いが下手だからリュドに止められた。

誤射が怖いらしい。



「お、いたな。あれは・・・ドレイクか」



ドレイクは竜のような鱗と甲殻をもつ二足歩行型のモンスターだ。

ブレスなどの特殊な攻撃手段は持っていない。

それ程強い訳でも弱い訳でもないけど私たちならほとんど苦労しないと思う。

ただ、ドレイクタイプのモンスターは集団で行動していることが多い。

油断はできない。



「群れていないうちに排除する」



フォルドが武器を持ち替える。

その手にはライフルのようなものが握られていた。

これも魔道銃の類いだろう。

ここまで大きいのは初めて見る。



「まあ待てって。そんなもんぶっ放したら近くの連中が寄ってくるだろ。ここは俺に任せな」



ドレイクに照準を合わせようとしていたフォルドを抑え、前へ出たリュドの姿が消えた。

確か、アイズ・ジャマ-。

正確には消えた訳ではなく見えなくなっただけ。


本来は夜の闇の中で最大限に能力が発揮されるが、不意打ちをするならいつでも有効だ。

見えづらいというメリットがある。


ドレイクが間合いに入るまであと二歩程だがドレイクが気づいている様子はない。

気づかれぬ内に敵の背後に迫りその命を絶つ、まさに死神だ。

結局ドレイクは最期までリュドの接近に気付けなかった。

渾身の力を込めた鎌に首を両断されて絶命した。

辺りに赤い血が広がった。



「ま、死神にかかればこんなもんよ」


「でも臭くない、この血。これじゃフォルドが一発撃ち込んだ方がよかったんじゃない?」



確かに倒れているドレイクからは鼻が曲がるような異臭がする。

フォルドの武器はおそらく魔道銃だから不意の一撃ならドレイクを消し去ることができたはずだった。



「いや、俺の攻撃なら消し去れただろうが音と光で気づかれる。射程もかなり長いからこの奥にいる連中にも感づかれるだろう」


「とにかくここから離れよ。まだ探索もしてないし。今本格的に戦うには早いんじゃないかな。」



私たちはまだどんなモンスターがいるのか全く調べていない。

把握しているのは偶然見つけたドレイクだけ。

そのドレイクにも上位種がいる上、集団で行動する習性がある。

さっきの一匹は群れの最端にいたのだろう。


私たちは警戒しつつ樹海の中を進む。

他には獣型の小型モンスター、ギランドや飛行型の小型モンスター、フラクラを見かけた。

いずれも個体数が少なかったから倒すことはしなかった。


ただ気になっているのは、樹海にいるモンスターが予想よりも少ないこと。

そして、モンスターたちの様子がおかしいこと。

リュドも疑問に思っているらしい。



「こりゃ何かあるな。フラクラとかならまだしもドレイクまでとなると・・・用心したほうがいいな」



フォルドは今も周囲を警戒しているけど、モンスターの気配がほとんどしないことが気になっているらしい。

表情が険しくなっている。



「ねぇ、どういうこと?静かすぎない?」



ミストが疑問を口にすると、リュドがそれに答えた。



「知るか。まあなんかあるのは間違いない。慎重に行くぞ。フォルド、なんか気づいたら教えてくれ」


「了解した・・・」



それからしばらくして、私たらは樹海の中心部に近付きつつあった。

ここでも問題があった。

中心部に近づくにつれてモンスターの気配が減ってきていた。

中心部まであと100mほどに迫ったころ。

フォルドが周辺のモンスターの気配が一切なくなったと教えてくれた。

それと同時に奥から強力な魔道波を感じられるらしい。



「モンスターがいない原因はそれだな。みーんなビビってどっかに逃げてたんだ」


「じゃあ・・・そいつがいるから村の周りにモンスターが出てきてるってこと?」



確かに、強力なモンスターが現れたからそれに怯えて樹海の外側に出てきてしまっているのだろう。

弱肉強食の世界では当たり前の事なんだろうけど、村に程近い場所では滅多にない事だ。



「おっ。珍しくミストがまともな事言ったぞ。今日は悪いことが起きるな」



リュドが冗談をぼやいたが、それは杞憂に終わらなかった。

しばらく歩き中心部までたどり着いた。

その瞬間、周囲を不気味な闇が支配し、緑が消えた。


「フシュルルル・・・」


「ったくよー。冗談だろ?何だってこんなとこに居やがるんだよ」



中心部にいたのは魔獣を統べる召喚士サマナー、グレイブノーグだった。

私事で投稿が一か月も遅れるなんて・・・

長くかかった割に内容が・・・

申し訳ないですm(__)m

いろいろ修正しておきます。

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