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第二章 目的

俺はずっと戦い続けてきた。

戦い以外の生き方を見つけられなかった。

見つけようとも思わなかった。


もう昔のような俺は嫌だ。

昔はあの村の生活が全てだった。

あれが理想的で平和な生活だと思っていた。

でも違った。

平和であったが故に家族どころか自分の命さえ守る力を持っていなかった。

そんな暮らしのどこが良かったのだろう。


だから俺は戦い続ける。

強くなるために。

だが、どれだけ強くなってももう守るものなどない。

復讐を遂げるための力だ。

これは俺の自己満足でしかないのかもしれない。

だが、内から湧き上がる衝動を抑えられない。

俺はイノセントの本拠地がある方角を見据え、ある決意を固めた。


五年前の、忘れられた荒野でのことだった。





しっかりとした部屋とベッドで寝たのは初めてだった。

疲れがとれやすい。



「フォルドー、起きてる?」



ドアの向こうから声が響く。

たしかフェイスだったか。

やけに愛想がいいやつだった。

俺はあいつが苦手だ。

昔を思い出してしまう。

馴れ合うつもりなどないのだがあいつは気にしてないようだった。

気付いてないだけかもしれないが。



「寝てても聞けよー。今から正門前に集合だ。いいなー?」



今度はリュドとかいう奴か。

寝てたら聞けないんじゃないのか?



「・・・分かった」



素朴でくだらない疑問を押し殺し、適当に返事を返す。

武器のメンテナンスをしてから集合場所に向かうことにした。

俺の装備は複雑な機構を多く取り入れている為に細部までメンテナンスをする必要がある。

正門前に行くともう他の三人は揃っていた。


ミスト?(印象に残っていない)は大欠伸をしていた。

おそらく叩き起こされたんだろう。



「やっと来たな。そんじゃあ、今朝一番の以来の説明をするぞ」


「質問!」


「なんだ?ミスト」


「眠いんだけど寝てていい?」


「却下。あ、フォルド。任務遂行中はオレの指示に従ってくれ。間違っても勝手に行動するなよ」


「・・・了解した」


今はまだ、な・・・





ここはゲイルフォードの南西にある小さなむら、ハバンガ。

ネドゥサのある首都から離れているこの村ではまだ近代化が進んでいない。

今回の以来は、この村の周辺にモンスターが現れたので排除してほしい、というくだらないものだった。



「んじゃ、とりあえずあの樹海から行くか」



リュドが村からもっとも近い場所にある樹海を指差した。

この地方には似たような密林や樹海が多い。

そこがモンスターがいる可能性が高い場所だ。


「ミストとフォルドが先方で、フェイスが後方支援な。オレが二人のバックアップをする」


「またー?たまには前やってよね」


「しょうがねぇだろ。これが一番なんだから。フォルドはオッケーだよな?」


「…あぁ。問題ない」



各自の装備はミストがトンファーで俺が長剣だから前衛が適している。

フェイスも剣は扱えるようだが魔法に長けているらしいから後方支援が適任だ。

リュドは大鎌を扱うが俺やミストよりもリーチが長い。

近接援護が適しているだろう。

妥当なフォーメーションだと思った。


シルヴァ学園長が言うには、人数こそ少ないが現在の主戦力となる者達らしい。

俺の目的を成就させるためにもこの任務でこいつらの力を見せてもらおう。



「うっし。じゃあ行くか」



手筈通り、俺とミストを先頭にこの、クルセウス樹海に足を踏み入れた。




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