第9話:鉄壁の魔獣、アクーパーラ
ダンジョンの空気が重く沈み、地鳴りとともに巨大な土の魔獣がその姿を現した。
「……あいつは、女神に捕らえられた私たちの仲間の一体、アクーパーラよ」
ナミアの肩に乗るカラが、険しい表情で告げた。かつての同胞を前に、その羽は小刻みに震えている。
「でも、様子がおかしいわ。あのアクーパーラの身体を包んでいる不気味なピンク色のオーラ……あれは間違いなく女神の力よ」
マイの相棒、ミーが尻尾を逆立てて叫ぶ。「あの力で無理やり強化されている。今のあいつは、本来の何倍も凶暴で強くなっているわ!」
「ここで立ち止まっている暇はないんだ……!」
ユウマはタケヒロとの誓いを胸に、愛剣に魔力を込めた。一気に間合いを詰め、渾身の一撃をアクーパーラの胴体へ叩き込む。
ガキィィィィィン!
しかし、手応えは岩を叩いたかのように硬い。強化された分厚い甲羅には、傷一つ付かなかった。
「くっ……!?」
驚愕するユウマに対し、アクーパーラはただ一度、深く鼻息を吐き出した。それだけで暴風のような圧力が生じ、ユウマの身体は木の葉のように後方へ吹き飛ばされた。
「師匠!」
「ユウマ!」
駆け寄ろうとするハルトたちを制し、ユウマは苦痛に顔を歪めながら立ち上がる。Bランク時代でも経験したことのない圧倒的な「神」の力の片鱗。このままでは全滅は免れない。
「……やるしかないな。お前ら、力を貸せ!」
ハクの声が響く。四魔獣たちはそれぞれの相棒――カケル、マイ、ナミア、ハルトから魔力を一気に引き出した。
まばゆい光がダンジョンを包み、次の瞬間。
そこには小型の姿ではなく、真の姿を一時的に取り戻したフェンリル、リバイアサン、シームルグ、バハムートが咆哮を上げて立っていた。
「行くぞ、アクーパーラ! 目を覚まさせてやる!」
成獣化した四魔獣の圧倒的な威圧感。ユウマはその中心で再び剣を構え、打倒アクーパーラを掲げて巨大な敵へと突撃を開始した。




