第4話:目醒める四つの影
「いいか、ハルト。槍のリーチを活かすには、踏み込みの深さが重要だ」 「はい、師匠!」
ハルモニアの一行は、修行のために森林を訪れていた 。ユウマは師匠として、ハルトやカケルたちに戦いの基礎を叩き込んでいく 。しかし、その穏やかな特訓の時間は、突如として破られた。
周囲の鳥が一斉に飛び立ち、空気がひりつくような殺気に満たされる。 「……っ! みんな、下がれ!」 ユウマが叫ぶ。森の奥から現れたのは、本来この周辺には生息していないはずの、Aランク相当の魔物だった。
「なんで……Fランクの狩場に、こんな化け物が……!」 震えるカケルを背後に追いやり、ユウマは剣を構える。
「あれは.....ハイドラです!首を切っても再生するんです!僕たちじゃ到底太刀打ち出来ません!」
魔物に詳しいカケルが叫ぶ。
「ハルト、みんなを連れて逃げろ! ここは僕が食い止める!」 「でも、師匠一人じゃ!」 「いいから行け! 『お守り』の言うことが聞けないのか!」
無理やり仲間を逃がしたユウマだったが、冷や汗が止まらない。かつてBランクパーティにいた彼にとっても、単独でAランクの魔物と対峙するのは初めての経験だった 。
「氷華……っ!」 魔法を放つが、格上のハイドラには決定打にならない。ハイドラの一撃を食らい、ユウマの体が木の幹に叩きつけられる。 (ダメだ……。タケヒロ、僕は、ここで……)
意識が遠のきかけたその時。 ユウマの腹部から、まばゆい四色の光が溢れ出した。
「――グアアアアアッ!!」
突如としてユウマの体内から飛び出したのは、四体の巨大な成獣だった 。 吹雪を纏う狼、荒れ狂う水流を操る大蛇、嵐を呼ぶ巨鳥、そして全てを焼き尽くす黒炎のトカゲ。 彼らは一瞬にしてハイドラを蹂躙し、影も残さず消し飛ばした。
「……え?」 逃げるのをやめて戻ってきたハルトたちも、その光景に立ち尽くす。 「今のは……何、だったんだ……?」
だが、驚愕する彼らの前で、神々しい姿を誇っていた四体の魔獣たちは、見る間に光に包まれ、その姿を縮めていく。
「きゅぅ……」 「ぷしゅぅ……」
光が収まった後に残されていたのは、小さな白い子犬、青い子蛇、彩りな子鳥、そして黒い子蜥蜴だった 。 一瞬で力を使い果たした彼らは、眠たそうに目をこすりながら、力なくユウマの足元に転がった 。




