第11話:氷結の奥義と土の魔獣の目醒め
「グオォォォッ!!」
追い詰められたアクーパーラは、その巨体を震わせ、最期の反撃に出た。強力な土魔法によって引き起こされた大規模な土砂崩れが、濁流のごとくハルモニアの一行へ襲いかかる。
「みんな、僕の後ろへ!」
ユウマが4人を庇うように前に出る。その直前では、四魔獣がそれぞれの属性を駆使した壁――炎壁、水壁、風壁、氷壁を展開し、必死の防戦を繰り広げた。
しかし、相棒たちから分け与えられた魔力はすでに限界に達していた。アクーパーラの放つ土砂の圧力に押され、属性の壁は無惨にもひび割れ、崩壊の時を迎えようとしている。
「……っ、もう、持たない……!」
さらなる出力を増した土砂の奔流によって、ついに壁が完全に砕け散った。絶望がハルモニアを包み込もうとしたその時、白い狼――ハクが一人、前へ踏み出した。
「……全員、残りの魔力をすべて我に預けろ! ユウマ、お前の魔力もだ!」
ハクの鋭い命令に、ミー、カラ、ニド、そしてユウマは迷うことなくすべての魔力をハクへと注ぎ込んだ。力を託したミーたちは、光とともに再び小さな姿へと戻っていく。
膨大な魔力をその身に宿したハクが、凍てつく咆哮を上げた。
「受けてみろ! 究極奥義――『アブソリュート・絶狼』!!」
ハクを中心に放たれた絶対零度の冷気が、襲いくる土砂を、そしてアクーパーラそのものを一瞬にして巨大な氷像へと変えた。凍りついた衝撃で、アクーパーラの身を覆っていた禍々しいピンク色のオーラ――女神の呪縛が粉々に砕け散る。
沈黙が訪れたダンジョンの奥底で、氷が溶けると同時に力尽きたアクーパーラが転がった。その姿はかつての巨獣ではなく、手のひらに乗るほど小さな茶色い子亀になっていた。
「あ……。この子、目が優しくなってる……」
マイがそっとその子亀を抱き上げた。「頑張ったね。これからはあたいの2体目の相棒だよ。名前は**『ゲン』**! よろしくね、ゲン!」
こうしてハルモニアは、女神の刺客を退けるとともに、新たな仲間をそのパーティに迎えたのだった。




