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引きこもりオタクのYouTuberはバーチャル仮想空間でクラスメイトの女性徒と恋をする  作者: 東雲明


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第30話 星輝の杖の登場と医療戦士の覚醒

最上階は、巨大な円形の祭壇だった。ドーム型の天井には星座が輝き、中央には光の結晶が脈動する装置が置かれている。そこに、マルクス・ヴェルナーが立っていた。黒いコートを翻し、冷酷な笑みを浮かべる。


「よう、引きこもり。」            


マルクスの声は氷のように冷たく、嘲笑に満ちていた。


「そんなボロボロの身体でよくここまで来たもんだな。だが、俺がこのボタンを押せば、お前の存在は一瞬で消える。『ルミエール・ラブロマンス』から、完全に削除だ。」


彼の手元には管理者パネルが浮かび、赤い「削除」ボタンが不気味に点滅。背後のモニターには、アキトのデータが赤いエラーコードに侵食される様子が映っていた。マルクスの手下が、サーバールームで削除プログラムを加速させていた。 


「愛だの夢だの、くだらない。お前たちの戯言は、俺の計画の前では無意味だ。」


アキトは痛みを堪え、一歩踏み出した。


「はぁ…マルクス。お前なんかに、ルミエールアカデミーは壊させない! リオとのこの世界を…絶対に守る!」

リオはアキトの腕を支え、決意の瞳でマルクスを睨んだ。


「アキトは一人じゃない。わたしがいる…わたしたちの愛を、絶対に消させない!」


マルクスは鼻で笑い、ボタンに手を伸ばした。  


「終わりだ!」



だがその瞬間、祭壇の中央の光の結晶が青白く輝き始めた。轟音とともに光が爆発し、マルクスを弾き飛ばした。


「ぐあっ!」



彼は床に叩きつけられ、驚愕の表情で光の中心を見上げる。


光の中から、細長く輝く棒が浮かび上がった――「星輝の杖(星屑の棒)」。その表面は深い藍色で、まるで夜空を切り取ったように星屑が螺旋状に流れ、無数の光の粒が周囲を舞う。杖の先端には星型の虹色結晶が輝き、触れる者を癒し、力を与える神秘的なオーラを放っていた。握り手には銀の装飾が施され、細かな星の刻印が光に合わせて脈動。杖全体がまるで生きているかのように、柔らかな光を放ちながら微かに振動し、空間に低く響くハミング音を奏でていた。


「最強のチートアイテム…!」アキトが呻くように呟いた。


突然、甲高い女性的な声が神殿に響き渡った。  


「私に触るな! この金髪ゲス野郎!」


杖が青白い光を放ち、強烈な衝撃波でマルクスを再び弾き飛ばした。彼は壁に叩きつけられ、呻き声を上げた。 


「な、なんだ…!?」


マルクスの手下――黒い影のようなアバターたちが祭壇に殺到したが、杖が再び叫んだ。


「この野獣ども!」


光の奔流が手下たちを一掃し、影は悲鳴を上げながら消滅した。杖はふわりと浮かび、真っ直ぐリオの元へ向かった。


「私を呼んだのはあなたね。」


杖の声は、まるで星の歌のように清らかで、優しくリオの耳に響いた。杖が彼女の手元で静かに輝き、囁く。  


「アキトを助けたいなら、私を彼に向かって振り下ろしなさい。あなたの愛が、私の力を引き出すわ。」


リオは一瞬戸惑ったが、アキトの苦しむ姿を見て決意した。


「アキト…あなたを救うためなら、わたしは何だってする!」


彼女は杖を両手で握り、アキトに向かって力強く振り下ろした。青白い光がアキトを包み込み、彼のアバターが輝きを取り戻す。胸の痛みが消え、HPが全回復し、攻撃力が格段にアップした。


「これは…! 力が…湧いてくる!」


アキトは立ち上がり、マルクスに鋭い視線を向けた。 


「マルクス! 今度こそ、お前を止める!」


彼は杖の力を宿した拳を握り、マルクスに突進した。


だが、リオが杖を振った瞬間、彼女の身体がふらついた。


「…っ! 何!?」



彼女のアバターが薄く揺らめ、データノイズが走る。杖が静かに囁いた。


「私の力には代償がある。使うたびに、使用者…あなたの体力が奪われるの。」


リオの瞳に恐怖がよぎった。かつてアバターとして削除されかけた記憶が蘇り、彼女の心を締め付ける。


「また…わたしが消える…?」


だが、アキトがマルクスと激突する姿を見て、彼女は唇を噛みしめた。


「いいえ…アキトを救うためなら、わたしは…!」


彼女は再び杖を握り、アキトのHPを全回復させるために振り下ろした。光がアキトを癒し、彼の攻撃がさらに鋭くなる。だが、リオのアバターはさらに揺らめ、彼女の膝が折れた。


「リオ!」                  


アキトが叫び、彼女に駆け寄る。


「やめろ、無理するな!」


リオは弱々しく微笑み、彼の手を握った。    


「アキト…あなたを失う方が、わたしには怖い。わたし、命懸けで戦うよ…あなたとあの星空を見るために。」


マルクスは立ち上がり、憤怒の表情で叫んだ。


「ふざけるな! その杖をよこせ!」


彼は管理者パネルを操作し、新たな黒いバリアを展開。手下たちが再び現れ、アキトとリオを包囲した。


ルミエールアカデミーのサーバールームで、ハヤトはモニターを見つめ、コードを高速で打ち込んでいた。


「アキト、リオ、頼む、杖の力を信じろ…!」


彼の解析で「星輝の杖」の代償が明らかになりつつあった。 


「使うたびに使用者のデータが…! リオ、気をつけてくれ!」


アキトはリオを背に守り、杖の力を宿した拳で手下を薙ぎ払う。リオは杖を握り、震える手で再び振り下ろす。


「アキト…負けないで…!」


彼女のアバターがさらに薄れる中、杖の光がアキトを強化し続ける。マルクスが削除ボタンに手を伸ばす。


「終わりだ!」




果たしてアキトはマルクスを倒し、リオとの愛を守れるのか? リオの命懸けの決意は、削除の危機を乗り越えられるのか? 「星輝の杖」の真の力とは――?



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