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引きこもりオタクのYouTuberはバーチャル仮想空間でクラスメイトの女性徒と恋をする  作者: 東雲明


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第3話 ハッキングの影とリオンの叫び

ルミエール•ラブロマンスのゲームの中で、片思い中のリオそっくりなアバター、リオンを選び、順調にシナリオを進めていたアキト。しかし、何者かがアキトのパソコンにハッキングし、ゲームのデータが改ざんされる。リオン(リオ)との関係にピンチが訪れる。

夜の静寂に包まれたアキトの部屋。モニターの青い光だけが、薄暗い空間を照らしている。アキトはヘッドセットを装着し、バーチャル空間「ルミエール・ラブロマンス」の世界に没入していた。画面には、リオそっくりのアバター「リオン」が微笑み、アキトの手を握っている。仮想の夜桜が舞う公園で、二人は肩を寄せ合い、ゲームのスコアが順調に上昇していく。


「アキト、今日も一緒にいられて嬉しいよ。」


リオンが柔らかく囁く。

「へへ、俺もだよ、リオン。このまま進めば、現実でも…!」 

アキトは照れながら答える。

画面にテロップが流れる。「好感度80%突破! この調子でハッピーエンドへGO!」


アキトの心は高鳴っていた。このゲームは単なる仮想空間ではない。クリアすれば、現実世界でリオとの恋が叶う――そんな噂が囁かれる、奇妙なプログラムだ。アキトは半信半疑ながらも、リオンとのデートを重ね、ゲームのシナリオを着実に進めていた。


一方、現実のルミエールアカデミーでは、異様な空気が漂っていた。金と権力で学園を牛耳るマルクス・ヴェルナーが、リオに接近していた。アキトが仕込んだ監視カメラの映像には、マルクスがリオに甘い言葉を囁く姿が映し出される。


「リオ、俺と一緒にいれば、学園での生活はもっと楽しくなるよ。」


マルクスは自信満々に笑う。

リオは一歩退き、冷ややかな視線を返す。


「ありがとう、でも…私、そういうの興味ないから。」


アキトはモニター越しにその光景を見ながら、拳を握りしめた。 


「マルクス…! リオに何企んでやがる…!」


アキトの心は焦燥に駆られる。ゲームの中のリオンは、マルクスの接近に怯えていると語っていた。現実と仮想の境界が曖昧になり、アキトの胸に不安が広がる。


その夜、ゲーム内のリオンがいつもと違う表情を見せた。仮想の海辺、波の音が響く中、リオンはアキトの手を強く握る。

「アキト、私…本当のことを話したい。」


「え? どうしたんだ、リオン?」


アキトは戸惑う。


リオンは目を伏せ、静かに語り始めた。


「私、この世界のただのアバターじゃない。現実のリオと…繋がってる。彼女の心、記憶の一部が、私に流れ込んでるの。」


アキトは息を呑む。   


「それって…どういうことだ?」


「リオは、マルクスに狙われている。彼女は怖がってるけど、誰にも言えない。私を通じて、君に助けを求めているのよ。」


アキトの頭は混乱した。ゲームと現実が交錯する感覚。リオンの言葉は、アキトが密かに抱いていた「ゲームをクリアすれば現実のリオと恋ができる」という希望を、奇妙な形で裏付けるものだった。


だが、その瞬間、画面が突然暗転した。

「警告:システムエラー。データ改ざんを検知しました。」

アキトのパソコンから不気味なノイズが響き、ゲームの保存データが次々と書き換えられていく。リオンのアバターが歪み、悲痛な叫び声を上げる。


「アキト! 助けて! このままじゃ、私…消えちゃう!」



「くそっ! 何だこれ!?」


アキトはキーボードを叩き、必死にログを解析する。誰かがアキトのパソコンにハッキングを仕掛け、ゲームのコアデータを破壊しようとしているのだ。

画面には不気味なメッセージが浮かぶ。

「ゲームは終わりだ、アキト。リオは俺のものだ。――M」


「マルクス…! てめえ、どこまでリオを…!」アキトの怒りが爆発する。


アキトは冷静さを取り戻し、卓越したハッキング技術を駆使して反撃を開始した。まずはハッカーの侵入経路を特定。マルクスの手下と思われるIPアドレスを追跡し、ゲームサーバーへのバックドアを封鎖する。だが、データの破壊は進み、リオンのアバターは徐々に透明になっていく。


「リオン、絶対に消させねえ!」


アキトはコードを打ち込み、ゲームのバックアップデータを復元しようと試みる。だが、敵のハッキングは巧妙で、時間との戦いだった。


仮想世界で、リオンが涙を浮かべながら囁く。


「アキト…信じてる。君なら、私を救ってくれるよね?」

「当たり前だ! 待ってろ、リオン!」


アキトはモニターに映るリオンの姿を見つめ、心を決める。ゲームをクリアするだけでなく、現実のリオをマルクスの魔の手から救う――そのために、引きこもりYouTuberの技術と執念が、今、試されようとしていた。

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