第1話 闇に閉ざされた希望
ルミエールアカデミー医療専門学校の地下深く、薄暗い部屋で、アキトはパソコンの青い光に照らされていた。キーボードを叩く指先は、かつての情熱を失い、ただ虚しく響く。引きこもりの日々を選んだ彼の心には、姉・サラの笑顔が今も焼き付いている。
6年前、姉サラはトラック事故で植物状態に陥った。いつもアキトを守り、優しく励ましてくれた姉。「ありのままのアキトでいいよ」と微笑む彼女の声は、今も心の奥で響く。あの日、ショッピングの帰り道、歩道に突っ込んできたトラックの冷たいタイヤの音が、すべてを変えた。サラは婚約を控え、ウェディングドレスを手に幸せを夢見ていたのに、一瞬で未来を奪われた。病院のベッドでやせ細るサラを見るたび、アキトの胸は無力感に締め付けられる。「御臨終です」という幻聴に、何度も夜中に飛び起きる。
アキトはサラを救うため、医者になる夢を抱いてルミエール王国の名門校に留学した。だが、入学早々、学園を我が物顔で闊歩する悪行を働く連中に目をつけられ、屈辱的なレッテルを貼られた。「キモオタ」と嘲笑され、教室は彼を拒む檻と化した。制服はタンスの奥に眠り、代わりに着るのは推しの少女アニメ「ナースエンジェル⭐︎リリカSOS!」のレアTシャツ。限定50着の原作者描き下ろしイラストが、アキトのささやかな誇りだ。
学園の闇は深い。悪行を働く連中は、金と権力を盾に好き勝手し、教師すら黙認する。アキトは地下に身を隠し、かつての夢を諦めかけるが、心の奥でサラの声が響く。「どんな時でも希望を忘れないで」。その言葉が、彼を立ち上がらせる。
ある日、アキトの目に、クラス一の秀才で心優しい少女・リオが映る。黒髪を高く結い、誰にでも穏やかに接する彼女は、入学式でアキトに微笑みかけてくれた唯一の存在だ。だが、そんな彼女こそ、悪行を働く連中の標的になりやすい。リオを守りたい――その思いが、アキトの心に小さな火を灯す。
仮想空間「光の絆フェスティバル」が、学園の秘密を暴く舞台となる。アキトは、卓越したテクノロジー技術を駆使し、悪行を働く連中の闇に立ち向かう決意を固める。サラの笑顔を取り戻すため、そしてリオを守るため、引きこもりだった少年の戦いが始まる。希望を掴むための、絆と勇気の物語が、今、幕を開ける!
 




