表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/58

出ないの!

それからは私的には何事もなく恙無い日々が過ぎて行きました。

どうやらマリエーヌ嬢は王宮への出入禁止になったようで、えっ?もうぷちザマァ?と笑ってしまったけど、お父様の前で笑うと怒られそうなので、部屋でベッドに突っ伏して笑い転げた。


何故かお父様は王太子様にお礼を言われたんだって、どうやら執拗くて困ってたそうだ。

でも側妃様の生家の子だから無碍にも出来ず⋯ってとこだったらしい。


側妃様もこれで大人しくなるとお父様はほくそ笑んでた。


なぁんかその辺大人の事情?があるみたい。

お子ちゃまには教えてもらえなかったけど大人になれば自然と知る事のような気がしてる。



ニつ季節が過ぎた頃、お義母様が珠のような男子を産みました、天晴!


実は実はちょっと前にマルシェの後継教育が始まったのだけど、その際序とばかりに私も一緒に始まったの。

その時にお父様に、後を継ぐのも継がないのも私の好きにしていいと言われたの。

ただ継がなくても後継教育は受けて欲しいんだって、選択肢を広げる為にもって。


私の中で決めてたことがある。

前世の記憶を思い出したからかもしれないけれど、お義母様が男子を産んだら私は嫁ごうって思ってたの。

妹だったら彼女の言い分もあるだろうから、後で考えようって思ってたんだけど、目出度く男子だったからホッとした。


でも彼を後々支えてあげることが出来るかもしれないからこのままお勉強は続けるつもり。


そんなある日、庭の花壇の手入れをしていたら日光に逆上せちゃったのかマルシェが倒れちゃった。

お医者様を呼んで診てもらったけれど、大した事はないと事なきを得た。


でもね次の日から少し様子がおかしくなった。

私に何かを言いたいけど言えないってそんな感じ。


どうしちゃったのかな?

って不思議には思ったけれど話したくなったら話すかなとソッとしていたら、3日くらい経ってからマルシェが話があると部屋にやってきた。


侍女も連れず一人で来たから私も人払いしたの。


「お姉様、あの驚くと思うのですけど」


そう話し始めたけどその次が続かないみたい。

そのまま下を向いちゃったから如何しましょって私も途方に暮れてたの。


なんか7歳の子が部屋でお互い言葉を選んでって傍から見たらどう見えるのかな?

なんて違う事考えてたら


「あの!お姉様私、困ってるんです!」


吃驚しましたよお姉様は!

マルシェ声がデカイぞ

耳キーンってなった、対面なのにキーンってなったよ。


「急に如何したの?困ってるって⋯なぁに?」


「お姉様今から話す事は他言無用でお願いします」


その言葉になんとなくピンときた。

7歳の子が言う言葉遣いじゃないし、マルシェも私を7歳だと思ってないような言い方だと。

私は彼女の言葉に頷くとマルシェは困った秘密を話してくれました。


何と!マルシェも前世の記憶が蘇ったそうです。

そして私と同じ日本人だった。

マルシェの死因は熱中症だったそうです。

だからかな?庭で日光を浴びて逆上せた拍子に前世を思い出すなんて。


そして彼女はしっかりとこの世界の事を記憶してくれてました。


してくれてたんだけど⋯。


「えっ!どういうこと?」




──────────────



この世界はWeb小説の世界でした。

タイトルは『オレンジ色の空に誓う』だそうです。


主人公は王太子の婚約者で、何とマリエーヌ様だそうです。

先ずここで「うそーん」って言っちゃった。

二人は順調に愛を育んでたのに、学園に入ってちょっと前に伯爵家に引き取られた孤児院上がりの女に王太子を略奪されてしまうのだそう。

そして卒業パーティで断罪されるんだけど、実は王太子には魅了がかかっていて、それが略奪女の仕業だったから逆に断罪返しをして、ずっと支えてくれた王太子の側近の公爵令息とゴールイン幸せになりましたとさ、めでたしめでたしな逆ザマァ小説だそうだ。


マルシェはその逆ザマァされる悪役なんだって。


えっ?でもマルシェ孤児院になど入ってないじゃない。

なんならお義母様の養子になったのも赤ん坊の時だ。


数々の疑問はあるけれど、私の興味は私の立ち位置だ!

何か絶望しているマルシェには悪いけど急かすわよ私は!


「ねぇねぇマルシェ、私は?私はどんな風に出てくるの?まさか格下のマリエーヌの取り巻きなんかじゃないわよね?ねぇねぇ」


「⋯⋯出ないの」


「えっ何?」


「⋯⋯居ないの」


「⋯⋯えっ?」


「お姉様はその小説に出てこないの!」


「えっ?どういうこと!」


私は頭が真っ白になりました。

気分は燃え尽きたあしたのジョーならぬ明日の令嬢

なんちゃって⋯⋯カオス。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ