Bパターンからの“エ”からの複雑化
結局リスキャリー様はお休みだった。
少し寂しかったけど公務と言われたらしょうがない。
だけど余計な、いやそんな事を言ったら彼が可哀想かもしれないけど、何故か私にピッタリ付いて離れない、アライア・ミンティ伯爵令息は登校していた。
そして来た早々ルーカスと交代して私付きになったのでよろしくお願いしますと挨拶された。
そういえばルーカスは私付きだったなとその時思い出した。
あいつ⋯役立ってなかったなぁ思ったよりも。
だから交代?
経緯は解らないけどこちらもよろしくお願いしますと言うと彼はとても光栄ですと言ってそれからは小判鮫の様にくっついて来て少々迷惑、いやコレも可哀想だ。
だって⋯凄く嬉しそうなんだもん。
マルシェは主に付いて回る犬の様だと言ってたけど私にはまだ小判鮫にしか見えない。
そのうち犬に見えたら可愛く思えるのかな?
と上から目線で思ってた。
実際立場では上ですしホホホ。
その彼は帰りも付いてきた馬で。
何故貴族の令息が馬で登校してるのよ!と言うと私の登下校を見守るためだと言われたけど、この人本当に真っ直ぐ猪突猛進タイプだ。
思い込んだら火の中水の中?
どっかの孤児院出身の令嬢に似たようなのいたなぁと公爵邸に連れて行くために馬車に同乗しているアルシェを見た。
彼女は窓越しに見えるアライアを見ながら頻りに感心している。
彼女は前世で『推しカプ』として彼の応援を想像でしていたとか⋯ん?何それ?
ちょっと良くわかりませ~ん
帰りの馬車の中では馭者に話しを聞かれるかもしれないから小声で話しをした。
「それがですね、この席取りのパターンは一つしかないんです!」
「「そうなの?!」」
私とマルシェの返事は同時だった、因みに小声だ。
「ただその前の事と、その後の展開が違います」
「どういうこと?」
「それはお邸で。そろそろ着くのではないですか?」
「そっそうね、ゆっくりそこの所を聞きたいわ」
「え~私気になって勉強に身が入らないかも~」
マルシェはもどかしそうに言うけど勉強は強制だから私にはどうしてあげることもできない。
残念そうな顔をしながら馬車を降りるとトボトボ侍女のキャリーにお供されて自室に行った。
私とアルシェはアライアとサヨナラの挨拶を交わして私の部屋へ向かった。
帰り際のアライア「ではまた明日参ります」って言ってたけど朝から来るの?
一抹の不安は異世界なら大体当たるので、もうなるようになれと思って自分の頭から排除した、どうせ明日の朝「おはようございます」って玄関に居るのが目に見えるようだ。
部屋で寛いでもらってる間に着替えて話しの続きを促すとアルシェは話してくれた。
彼女の話ではこれは“Bパターン”の“エ”に繋がっているという、彼女は沢山のエピソードパターンを記号をつけて分類していた様だ。
このパターンだとマリエーヌがヒロインだという。
恐れていた私が悪役令嬢か!とビビったら、席取りで私は退場するのだという、だから本来なら退場モブ。
「じゃあ悪役はどうなるの?ザマァは?」
「それがですね、本当ならエルファイア様は席取りの件で他国に留学する予定だったのです。その後、後釜って言ったら何ですけどマリエーヌが婚約者になってそれを不服に思ったフィオナ様が嫌がらせを繰り返すんです」
「えっ!じゃあフィオナが悪役?」
アルシェは頷いた。
「これはパターンの中でもちょっと変わり種の作品で、おそらく前世の母もネタが尽きて無理やり作った話のように思うんです、ただ前にもちょっとエルファイア様が言ったように私達の行動が原因なのかわかりませんが、時期もそうだしパターンの出方も若干というよりだいぶ変動してるように思います」
「どういうこと?」
「エルファイア様が婚約者になった時点で3つに絞れましたけど、この間言っていましたよね、マリエーヌが密かに問題を起こしていたって」
「うん、リスキャリー様にファーストダンスを申し込んだことでしょう」
「そうです!そのエピソードが違います」
「えっ?」
「もし席取りが行われるのならその時に王太子様はマリエーヌとダンスを踊っていないといけないんです」
「ええええっ!!」
「だから3つに絞ってたのに⋯その中にはこのパターン入れて無かったんです」
「じゃあエピソードがごちゃごちゃになってるってこと?」
「はい、あのメモを渡した時、実は私エルファイア様とは会えなくなるかもと思ってたんです。だからメモは家で書いてきててチャンスがあったら渡そうと用意してました、でもあの悪口大会でちょっと自信がなくなってて、でも折角用意したから渡したんです」
「ねぇじゃあこのパターンも違うかもって事?」
「それがですねぇそうでもなくなってきて」
「?」
「私の言った“Bパターンのエ”では補足でエルファイア様とアライア様がくっついたみたいな行があって、後々前世の母は外伝か番外で話しを作ろうとしていたんじゃないかなって思ってるんですけど、その布石ありますよね!今日からエルファイア様付きになったんでしょう?」
アルシェの言葉に頭がこんがらがった私は気が遠くなりそうだった。
前世のアルシェのお母様⋯⋯勘弁してください!




