義母と義妹の事情
私の義理の母になったセラミー様はアシェリー公爵家の傘下のタイオール伯爵家の代理当主なんです。
実はセラミー様は元々タイオール伯爵家の後継でした。
でも婿に来るはずの方がよくあるセラミー様の妹に恋をしたってね。
それでもセラミー様は二人を祝福して婚約者交代を受け入れたそうです。
その後は王妃様の侍女としてお城で働いてらしたのだけど、妹夫婦が事故に合い乳飲み子を残してこの世を去ってしまわれました。
その前年にセラミー様のお父様であるタイオール伯爵もご病気で亡くなっていました。
お母様は妹様を産んで暫くして亡くなっていたそうです。
タイオール伯爵領は割と気候に恵まれた土地で特産物は新鮮なお野菜と小麦。
そんなに広くない土地だったから領民の食い扶持と少しばかり他の領地との取引で治めていたそうです。
そんな土地でも領主夫妻が亡くなったら、見たこともない親戚やらなんやらが、呼ばれてもないのに飛び出ちゃってジャジャジャジャーンとお家騒動が勃発しちゃって大変だったみたい。
それで次期伯爵である小さなマルシェを守る為、自分の養子にして伯爵家をセラミー様が継いだのです。
それでもとても大変だったそうです。
そんな変な親戚いたら気の休まる暇もないだろうし、マルシェは小さくて子育ても大変だったみたいだしセラミー様の苦労が偲ばれます。
そこで手を差し伸べたのが寄り親でもある私のお父様。
このままではタイオール伯爵家がいいように親戚達に食い物にされてしまうのを止めるべく、セラミー様を自分の妻に迎えたのです。
そしてセラミー様は代理伯爵となって今はお父様と相談しながらマルシェに引き継ぐまでタイオール伯爵領を守っています。
この婚姻の際にもまだ5歳だった私にお父様はちゃんと説明してくれました。
決してお母様を忘れたわけではないけれど、エルファイアと同じように守ろうと思った人が出来てしまったって、ごめんねって言ってました。
まぁ詳しく説明された所で5歳の子供が全部わかるわけもなくただお母様ができる!って単純に喜んだのは私です。
今なら前世を思い出したからちゃんと理解できてます。
でもお義母様はお父様が言ったとおりの聡明且つしっかりとしたお手本にしたい貴婦人でした。
その方に育てられたんですよマルシェは。
嫌な子のわけないじゃない。
何れタイオール伯爵家の当主になるマルシェはお父様の、戸籍には入っていないけれど、お父様はちゃんとマルシェも引き取って私と同じように育てると決めたみたい。
バックにアシェリー公爵家がいるからタイオールの変な親戚共は尻尾を巻いて退散しました。
まぁ裏でお父様が手を回したのは言うまでもないけれどね。
お茶会の一週間後に解ったのだけどお義母様のお腹には私の妹か弟がいるみたい。
ふふふこんなに幸せなんだもん
私が悪役令嬢なんて、そんなはずないわよね。