フラグ?
学期末テストは滞りなく終わった。
後は天のみぞ知るって感じかな、最善は尽くしたけれど不安もある。
私のいたAクラスは伯爵クラス(私命名)だったけど意外に優秀な人が多かった。
基準が私だからなんとも言えないけれど、公爵家の私がBクラスなんてお父様の顔を潰しそうで怖いなぁ。
後はピンクリボンも怖い。
自由に生きると決めたけれど、どうしても彼女の動向が気になって登下校のときについキョロってしまう。
あとフィオナ情報で私達のデビュタントに彼女も参加するそうだから、というか今年の同じ年の子たちでそれに参加しないほうが少ないのだ。
留学してるとかのっぴきならない事情がある人以外は皆、同じ王家主催の夜会でデビューする。
ダンスレッスンもなんとか熟してミラー様に合格点ももらえているし、ドレスは両親から装飾品はリスキャリー様と王妃様から贈られた。
リスキャリー様はお父様にドレスの権利を《《譲ってあげた》》と言っていたけど、二人の間でどんな攻防があったかは知らない。
私の周りでは今ちょっとした婚約ブームだ。
アリシアとサミエル様はアリシアがオギャーと産まれたときからの婚約だから別枠だけど、マルシェとアンディ様、そしてなんとフィオナとライアン様が婚約した。
この二組は発表前に私達の婚約を知っているから早々に決めたけれど、私とリスキャリー様の婚約発表後は、いい男は争奪戦になるんだとかフィオナは言ってて、カーティー侯爵が頑張って纏めてくれたと教えてくれた。
ライアン様は三公爵のサバイア公爵家の嫡男だからそりゃあ引っ張りだこだったでしょう。
カーティー侯爵天晴だね!
夜会当日、朝から凄かった。
夜会と云うくらいだから夜にあるのに私は前日から王宮に詰めていた。
朝っぱらから叩き起こされ公爵家から来ていた侍女と王宮の侍女総勢8人に体の隅々まで磨き上げられ、食事はサンドイッチとスープのみで初めてのコルセットにヒーヒー言いながら頑張った。
ロッサルト王国でも昨今はコルセットで締め上げるドレスよりも、無しでも体の線が綺麗に見えるラインのドレスが主流になってる。
だけどデビュタントだけは淑女の心構えを忘れないようにとコルセットを着けることが必須なのだ。
こんなに締めてダンスを踊るなんてどんな拷問だ!でも昔の方は皆毎回これだったのだと思うと先人の淑女の皆様に尊敬の念が湧いてくる。
私はコルセットを締められながら天に向かって合掌した。
夜会の始まる少し前にリスキャリー様が部屋へ迎えに来てくれた。
今日は私だけマルシェ達とは違う場所から入場する。
皆は入り口から入場するけれど私はリスキャリー様と同じく階段を降りてゆく形だ。
それは準王族を意味する事なんだとか、控室に行く道程をリスキャリー様がエスコートしてくださってるけれど、緊張で震える私の添えた手をキュッと握ってくれる。
それが心強くて安心する。
大丈夫大丈夫と言い聞かせながら一歩ずつ前へ進みます。
そういえばお父様はアンディ様に頼み込んで入場だけはマルシェのパートナーを譲ってもらったみたい。
娘を二人ともエスコート出来ないのは辛いと泣きついたらしい。
入場したらマルシェはアンディ様のパートナーとして王族への挨拶もアンディ様とするらしいです。
辺境伯もかなり有力貴族だからそれはそれでマルシェの今後にもお役に立つ。
そういえば今回のお義母様のドレスは私とマルシェが見立てたの。
いつもお父様の色である地味目のドレスだったみたいだから(だってミルクティー色かアンバーだもん)可哀想だったので違う色を纏ってもらう、でも装飾品は琥珀で統一したけどね。
楽しみでもあり怖くもあるデビュタントがもうすぐ幕を開ける。
控室には陛下と王妃様が既に待っていらした。
私の姿を見て王妃様が感嘆の声をあげた。
「まぁまぁまぁまぁなんって綺麗で可愛いの!」
どっちだ!
「エルキュイールにそっくりだわ」
亡きお母様の名前が出て吃驚した、王妃様はお母様を知っていたみたい。
そりゃそっか三公爵の奥様だったお母様を王妃様が知らないわけないよね。
でも王妃様、私は父似の筈ですが?
亡きお母様にも似てるってどういうことなの?
色的には全く違うのに母娘は似るのだろうか。
そんな事を考えていたらリスキャリー様が飲み物をくれた。
「エルこれを飲んで、暫くは飲み食い出来ないからね」
渡されたのは極上なアップルジュース
リスキャリー様、これはとっても美味しいけれどあまりいい思い出はないのよ。




