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オレンジ色の空に誓う  作者: maruko


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18/58

ボボボ

学園の食堂はこれまたクラス毎に別れてる。

私はAクラス専用の食堂で昼食を取ろうと向かったけれど、今日はとても混んでいた。


左腕が痛むから今日はランチボックスのサンドイッチにしようとフィオナに持ちかけると、頷いてくれたので中庭に移動した。


食堂には横にテラスが設置されてそこから階段を通じて庭に出られる。

そこには何ヶ所かベンチが設置されている。


その一つに腰掛けてハムと卵のサンドイッチをパクリと頬張る「上手い!」声に出さずに心の中で舌鼓。


「ねぇねぇ今朝の話だけど⋯⋯王命なら断れないから腹括ったんでしょう」


同じようにチキンサンドを一口モグモグしてからフィオナに言われたの。

フィオナは好きな物から食する派なのね。


昨夜のお口チャック呪文は功をなさずにペラっと喋っちゃいました。

朝からの顔色の悪さで直ぐに気付かれたともいう。

私はマルシェとフィオナには隠し事が全く出来ないのだ、あっ!アリシアにも。

こんなで王妃なんて出来るの?


「腹は括らざる負えないけど、なぁんかまだ実感が沸かなくて。教育でも始まれば沸くかな?」


「さぁ?で発表は?」


「さぁ?今日お義母様と学園が終わったら登城する事になってるの」


昨日お義母様の話しを頭真っ白で聞いていなかった私に今朝、登校前に再度確認で告げられて知った。

危なかったぁ、聞いてなかったらフィオナと学園帰りに寄り道してたかもしれないわ。


二人でサンドイッチをパクつきながら話していると目の前が急に暗くなった。

アレ?急に何?と思って見上げると王太子の側近であるサイゼル・ハシュテイ侯爵令息が立っていた。

彼は宰相のご子息だが、確か王太子と同じSクラスではなかったか?

何故A棟にいるのかしら?


「エルファイア嬢、初めまして私はルーカス・ハシュテイと申します」


「ヒャッ?」


驚きすぎて変な声を出した私をフィオナが肘でつついて「双子!」と耳打ちしてくれた。

そうだった、彼等は双子だった。

まぁそっくりねぇ双子って初めて見たわ


「ハハハ」

「エルファイア漏れてるわよ」


心の声が口に出ていたようで慌てて口を抑えたけれど別に大した事は言ってないと思い直した。


「君意外と面白いね」


何処が面白かったのかさっぱり解らなかったけど取り敢えず微笑んでおいた。

双子の彼は何用なのだろうか。


「僕さぁ君付きになったんだよ」


「私に?」


「あぁ王妃様と殿下の命でね」


「まぁご苦労さまです」


王太子の婚約者になったら何か取り巻きができるのかな?そういうのはどうもむず痒い。


「また漏れてるよ、まぁそう言わずに。これも運命だ」


「ねぇお友達とかでは駄目なの?取り巻きって性に合わないの」


私の提案にルーカスは目を見開いてそれから暫し考えてる様子だったけど了承してくれた。

彼は、ベンチ前の何故そんな所にあるのか解らない腰掛けるには丁度いい岩の上に座ってランチボックスを広げた。


「A棟に入ってきてもいいの?」


フィオナが聞いた、私も疑問に思ってたから丁度いい。


「僕本当はBクラスだったんだけどさっき学園長に呼ばれてAに移動になったんだ。午後からAだからよろしく」


彼等双子はあまりにも似ていた為、教師が混乱しないようにSとBに分けられていたらしい。


「そんな事出来るのね」


「あぁ君のとこのタイオール次期伯爵もAに移動になってるよ」


「マルシェが!良かったぁ。あんな人間魚雷が側にいたらオチオチ勉強なんて出来なかったもの」


「「魚雷?」」


おっとこの世界で魚雷なんてないのかな。

失言かな、私は爆弾に速やかに変更した。


「爆弾ねぇそれよりも魔獣じゃない?火を吹く魔獣」


「サラマンダーだ!」


ルーカスが大きな声で言ったけど、サラマンダーは聞いたことある、前世でだけど魔獣の名前だったっけ?

まぁどっちでもいいか

そのあとはサラマンダーマリエーヌの話しで盛り上がった。





帰りは学園にお義母様が迎えに来たので制服のまま登城する事になった。

真っ直ぐお父様の所に行ったら何かバタバタしてたからお義母様とお茶を堪能していた。


「やっと終わった」


お父様がお義母様の横にドサッと腰かけながら息をつく。

どうもこの婚約の為の書類作成とか、関係各所への伝達とか、朝から忙しかったみたい。

元々のお父様の仕事がそういった部署だったようだ。


お父様が一息ついた後、三人で陛下に謁見した。


陛下ってこんな顔だったかしら?

季節の行事の際に遠巻きにしか拝謁してなかったから間近で見たのはあのアップルジュース事件の時以来だ。


お義母様仕込みのカーテシーで挨拶すると「ほぅ」と陛下や陛下の側近の方達の声が漏れた。

でしょうでしょう、お義母様は所作が完璧な人だから直伝の私の所作が綺麗なのは言うまでもない。

ふふふと心の中でほくそ笑んだ。


王妃様と王太子は中庭にいると陛下自ら案内されて其方に向かった。


《《あの》》王妃様自慢の薔薇園だ。


あの時此処から引き返したなぁと思いながら、その場所を過ぎて歩いて行く。


何かあの時の続きのような錯覚に陥った。


幼い私と王太子を思い浮かべながら⋯。


アレ?あの時待ってたのはってか勝手にお茶会始めてたのはサラマンダーマリエーヌだったよね。


危ない危ない


今は王妃様と王太子だ。


気持ちを切り替えて二人に向き合う。


頬を染めた王太子の顔を拝見

過保護に育てられた目の前の美男子を眺めながらアレレと思いつつボボボと私も頬が染まってしまいました。







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