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まさかの⋯。

翌朝私の機嫌はあまりよくなかった。

手首がちょっとだけ痛いのと夢見が非常に悪かったから。


昨日王太子に転ばされて地面に突いた手首が痛い。

ズンズンと痛いわけじゃなくてちょっとだけ。

見たら少し腫れてる気もするけど気のせい?


マルシェは主治医の言い付けで一週間学園は休ませると朝食の席でお父様が言ってた。


頭は侮っちゃいけないのよ!

「療養はしっかりと、マルシェお大事にね」

キャリーからマルシェはまだ寝ていると聞いたから心の中で呟いて一人馬車に乗って登校した。


学園に着いたそうそう門のところでアンディ様に捕まった。

実はそんな予感がしていた。


「エルファイア嬢おはようございます、マルシェ嬢は大丈夫ですか?」


「アンディ様おはようございます。マルシェは大事を取って暫く休ませる事にしましたの、大事ですから」


マルシェの瘤が出来たところを指しながら返答するとアンディ様は憮然とした表情をされた。


「まったく名門が聞いてあきれますね」


校舎までの道を昨日とは違って私と並んで歩くアンディ様。

マルシェじゃなくてごめんなさい。


「あの方の事でコルシェ侯爵家も大変でしょうね」


「あそこは側妃様も大概ですから」


あっそうだった。

とんでも側妃様の生家だったわねコルシェ侯爵家。


王家の子供事情も大変だなぁと少しだけ王太子に同情もする。

過保護すぎてきっと逃げてたんだろうなと推測しているんだ。


お父様から聞いたお話によると陛下と王妃様は子供の頃からの婚約者同士でとても仲睦まじいお二人なんだとか、それは今でも続いています。

では何故に側妃など?

当然の疑問は結局の所、王家の子供事情に横槍を入れたい貴族の都合なんです。


王妃様は二度の流産をされています、お労しい。

王太子の前に一人、後に一人。


本来ならば陛下と王妃様の間には四人のお子様がいたはずなのですが今は4年前にお産まれになった王女様も入れてお二人です。


でも王妃様が王太子の後の子を流産された時に貴族議会が騒ぎ出しました。


陛下は頑なに拒みましたけどね、だって王妃様が大好きですから。


でも王家に子供が一人というのは他国へ隙を与えるとわけのわからん(解るけど)難癖を付けて側妃擁立を議会が陛下に認めさせたのです。

お父様曰く王妃様を責めたらしいのよ議会は、酷い話よね。

流産は王妃様のせいではないはずなのに、お労しい。


そして選ばれたというか、ゴリ押しで擁立されたのが当時コルシェ侯爵家の息女だった側妃様です。

陛下も側妃様の所へ行かないという暴挙に出たけれど、側妃様に気を使った王妃様の助言で一度だけ訪ったようで、その一回でお産まれになったのが第一王女様です、只今御歳12歳。


云えに王家に男児はたった一人

この国は女王も立つことは出来るけれど、それでも唯一の男子は大事にされて然るべき。

それが王太子を異常に守ろうとする風潮に繋がってます。

昨日の対応もそうだよね。

マルシェが責められてるのに王太子を守る事を優先して彼をすぐ様遠ざけたんだから。



それはさておき、陛下ってば確率結構高いよね。

お父様からこの話を聞いたときの私の感想でございます。


そんな事を考えながらアンディ様と連れ立って歩いていたから、ボーッとしていたのかもしれないけどまさかの2日連続体当たりを私はかまされました。


今回はあのピンクリボンでした。


「もっ申し訳ありません、大丈夫ですか」


アンディ様に起こされた私はピンクリボンの謝罪を薄ぼんやりと聞いていたけど、彼女は何かブツブツ言ってアンディ様が抗議して止めるのも聞かずに走って逃げていった。


えっ!走った?


貴族子女が?


とんでもない女だと思ったが、呆れるよりも先に私は今少しだけ痛かった手首がジンジンと痛むのを感じていた。

まさかのまた同じく手首を突いてしまった。

気遣うアンディ様に「大丈夫」と言ったけど、まったく大丈夫な気がしない。


痛む手首を気取られないように漸く着いた教室でフィオナに有力情報を聞いた。


ピンクリボンの素性はスノウ伯爵家の令嬢で学園入学半年前に孤児院から引き取られた娘だそうだ。


ん?孤児院出身の伯爵令嬢って聞いた覚えがあるんだけれど⋯⋯。


アレ?まさか⋯。


そして名前をフィオナから聞いた私は気が遠くなり何故か悪夢を思い出す。

昨日見た夢は《《私が断罪される夢》》。


悪夢にびびったせいなのか聞いた名前のせいなのか、朝っぱらから目眩を起こした私はクラスメイトの伯爵家の令息に抱えられ、昨日マルシェが寝ていたベッドに同じく寝かされた。


意識の飛ぶ寸前に聞いた名前を呟く


《《アルシェ》》・スノウ


ねぇマルシェ

悪役令嬢ってこの子じゃないの?





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