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怪しいピンクリボン

「ごめん大丈夫かな」


アンディ様とマルシェに起こされた私に王太子は謝罪してくれたけど、その言葉を発した途端、「お詫びは後日」と、なんか小声で言って走って居なくなった。

何なの?と思っていたら私達の後方からバタバタと騎士達が走って来て追い越していった。

はは~ん、護衛から逃げてる途中?

まぁ王太子は如何でもいいけど転んだ拍子に手を付いたみたいで手首が痛い。


だけどこれを言うと二人が、特にマルシェが心配して騒ぐのは目に見えてるから「大丈夫?」と二人に聞かれたけど「大丈夫」と返して何でもないフリをした。


講堂に入っても来てる人は疎らで、まだ時間があるからとアンディ様は一年生の席に並んで座ってマルシェとお喋りしてる。


これは早めにお父様に話したほうがいいかな。

学園入学前に話すと何処で会ったんだなどと、お父様が五月蝿そうだったから内緒にしていたの。

家でするお茶会での招待もフィオナの知り合いと云う事で来てもらうという設定まで作って抜かりなし。


でも学園に入ったら此処で知り合ったことに出来るから時期を見計らってお父様に話しをしようと、そんな事を考えていたら「おはよう」と声をかけられた。


えっと⋯⋯何方?


全然知らない女の子が挨拶してきたのだけど如何しよう。

本来なら知り合いでもない身分の下の者が話しかけることすら出来ない。

そのご法度をされちゃったんだけど学園はこれ自由だったかな?と規則が記載されてた手帳を脳内で開いていたら


「あっ!ごめんなさい知ってる人かと思ってしまって!」


そう言って彼女は足早に去っていった。

知り合いではなくて知ってる人?

彼女の物言いも変だなと思ったけど入学式は此処でするのに彼女は目で追うと講堂を出ていってしまった。


この学園の入学式は全校生徒でするから折角入ってきたのに、なんの為に出ていったの?

と考えて、あっお花摘みね。

なるほどなるほど~

で、アレ?私何考えてたかなと何を考えてたかを考えるという意味のない事をして時間つぶしをしていたら、マルシェがツンツンと私の肩を指で押してた。


「お姉様、席がクラス順みたいなんです」


「えっ?」


マルシェに言われてハッと我に返ったら私を皆が見つめていた。

どうやらSクラスの人に囲まれてたみたい。


「失礼いたしました」


慌ててAクラスの方へ移動しました恥ずっ!

Aクラスにフィオナを見つけて軽く手を上げるとフィオナも手を上げて横をトントンとする。

どうやら席を確保してくれてたみたい。

そそくさと座ると「遅かったわね」と言われたんだけど遥か前に来ていたとは何故か恥ずかしくて言えなかった。

「まあね」と言いながら後で正直に言おうと思った。


新入生代表はお約束の王太子で、在校生の歓迎の言葉はサミエル様だった。


一通りの式典が終わり教室へ移動している時に先程の変な行動の女の子が目に入った。

どこのどなたか存じ上げない彼女はCクラスのようだった。


「あらっ」


彼女を見ていたらフィオナが何かに気付いて声を出す。


「如何したの?」


「ほらあのピンクのリボンの子」


まさしく今私がミテイタ彼女だ。


「なんかさっき声かけられたんだけど、意味不明だったの」


「フィオナその話後で詳しく聞かせて!」


私はフィオナの両手を私の両手で包んで懇願するように囁いた。



私とフィオナのクラスは身分が一番高いのが私で次がフィオナ、それ以外の方達はほぼ半数以上が伯爵家で子爵の方が二人いる、俗にいう伯爵クラス(エルファイア命名)だった。


担任の先生も伯爵家の出身だそうでクラスの全員の自己紹介が終わったあと、先生も自己紹介してくださった時に「お前もか!なんでやねんどないやねん」と心の中で突っ込んでいた。


明日から夏季休暇前のテストまでの3ヶ月だけ(前世と同じ4月始業)のカリキュラムの連絡だけでその日は解散になった。

この学園は結構な敷地の広さが有り建物同士も少し距離がある。


何故そのような配置なのかは知らないけれどクラス毎で校舎が別れていた。

だからマルシェ達のSクラスの校舎は玄関からまた移動しないと行けなくてちょっと遠い。

だから玄関で待ってたんだけどなかなかマルシェは、やって来なかった。

っていうかSクラスの人が誰も来ないところを見るとまだ終わってないみたい。


変だなぁと思いながら待つ間に、もう一人の変な人のことをフィオナに聞こうと思った。


「ねぇフィオナ、さっきのピンクの方の話聞いてもいいかしら?」


「あぁあの人ね、あの人突然挨拶してきて私吃驚して固まってたら知ってる人かと思ったって言って居なくなったんだけど、暫く目で追ってたら色々な人に同じように声かけてて」


「フィオナも声かけられたのね」


「って事はエルファイアも?」


私が頷くと「怪しい」とフィオナは腕を前に組んで胸を反らした。

私もフィオナに同感だ!

無茶苦茶怪しい。

なんの為に声をかけてるのか目的が解らなくて気持ち悪い。


「ちょっと調べてみようか」


というフィオナの言葉に勿論私は頷いた。


この学園は貴族しか通えないからおそらくは直ぐに身元が解ると思うけど、初日から怪しい行動を取って家に迷惑かかるとか思わなかったのかな?






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