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第2話 能力獲得

ーザワザワ、ザワザワー

 

 その様に聞こえそうなほど人がいる。

 今は自分に割り振られた講堂に向かっている最中だ。本当なら講堂に移動する前に入学式だから大講堂で校長による演説?の様なものがあるのだが、どの世界でも校長の話が響かないのは当たり前だと思っている俺は軽くスルーした。

 講堂では、能力ギフトを付与されるらしい。

 実は、この付与される能力ギフトによって本人の実力がほぼ決まってしまう。

 理由は簡単、能力ギフトは本人の我の強さで決まるらしく、権限も様々、権限による格差がつきやすいのだ。

 余談だが、生まれた瞬間や、自力で能力ギフト獲得することもあるらしい。稀なことである。少なくとも俺はそんなタイプではない。


ーザワザワ、ザワザワー


 次は本当に効果音が聞こえてきた。

 音の中心にいるのは他とは違う存在。勘のいいガキの諸君ならばもう分かっただろう。そう、この国の皇太子である。第四皇子だから皇位継承権はないけど。

 この国の権力のほとんどは皇帝一族が握ってるから皇位継承権がなくても権力は半端ないのだよ。

 ああ言うのは何かしでかしたら大事になるからできるだけ関わらない様にしよう。

 この学園は前世でいうところの国立大学タイプでよかった。

 本当に。


ードッー


「あ?」


 誰かが俺にぶつかってきた。俺はこれでも父親の執事ことブルースに「素質はある」発言をされてるから一応は強いぞ。


「すまねぇな。次は気をつけるよ」


 そういうと俺にぶつかった男子はさっそうと過ぎ去って行った。

 というかあの男、貴族じゃないのか?

 発言の仕方等、貴族ではあり得ない。俺の貴族との人脈は少なすぎて確信はないが。

 というか、この学園には貴族以外はあまりいないし、初めから庶民は少し入りにくくなっている、らしい。ということはさっきの男子、かなりやる。

 喧嘩売らなくてよかった。


 そうこうしている内に自分に割り振られた講堂に着いた。


「今からで能力ギフトを付与します。生徒番号順に並んでください」


 俺の生徒番号は、確か294番、だいぶんあるな。というか最後から6番目て・・・・・。

 まだまだありそうだな。

 俺は近くにあったベンチに腰掛けた。

 くそ、前世だったらこういう時間はずっと電子書籍でマンガを読んでたのに。

 おっと、前世の自分と今の自分は分離するって決めたのに。


 ん?は、速い速い速い!能力ギフト付与のスピードが速い。

 もう30番目まで行ってる。

 早く列に並ばねば。

 

「あの、どうして、能力ギフト付与のスピードがこんなに速いんですか?」


 俺はちょうど通りかかった生徒に聞いてみた。


「ボクはわからないよ。それより、今話しかけないでくれるかな」


 ・・・・・能力ギフトのあたりが悪かったのかな。俺もこうなるかもしれないし、そこを追求するのはやめておこう。


 

 ♦︎♦︎♦︎


 もう少しで俺の番だな。


 ん?


 その時俺の頭に電流走る。


 これは、覇気がヤバい。


 なんだよこれ、この学園は化け物揃いなのか?いや、正確には学園を運営している議会が化け物揃いなのか?ん、待てよ。そう言えばこの帝国はここ200年ほど全く反乱が起こっていないって聞いたことがあるけど、まさか、この先にいる人たちが治安を守っているのか?

 

 

 実際は違うのだが、カミラにはそう思えてしまうほど、この先にいる人たちの覇気はすごかった。



 とうとう自分の番が来てしまった。どうする?足がすくむ。だ、大丈夫だろ。俺の後ろにはもうあと6人しかいない。


「ククククク、恐れおののくか。弱者め。もっと恐れおののいても良いのだぞ」


 変人だぁ。

 あ、どうて事もなさそうだ。少し心配が和らいだワ。


「しかし、後ろにあと6人しかいないからという奴に能力ギフトを与えても良いのだろうか?」


 和服の様なものを着た男性が異論がある様に言った。というか、

 何!心を読まれただと。


「いいじゃない。大体の生徒はそうだったし、そういう契約でしょ」


 呆れた様に女性が言った。

 なんだ。この人たち、なんだか我が強い。というかみんな自己中心的?俺もだけど。


「おい、そこの赤髪の少女よ。294番よ。名は?」


 みかねた年老いた先生?の様な人が聞いてきた。

 怖い、だけど、恐るな!

 よくよく考えたらこの国やばい所が多すぎて感覚鈍くなってきてたワ。


「カミラ・ウェーズリーです」


ーザワザワ、ザワザワー


 今日はよくーザワザワーを聞く日だな。もう聞き飽きたよ。


「相わかった。前に出たまえ」


 そう言われて俺は一歩前に踏み出す。踏み出した場所は異界の裂目、そう言った方がいいだろう。

 空間に穴が空いており、広い空間には先生?集団。そしてその先生?集団に囲まれた台座がポツンと置いてあった。

 俺は台座の方まで歩いた。


ーフォンー


 俺が台座の近くに立つと台座から眩い光がたった。


「それでは、これより294番の能力ギフト付与式を始める」


 先ほどの年老いた先生が仕切って儀式が始まった。

 俺の周りを眩い光が囲む。そして、そのひかりは俺の方に突っ込ん、ん?


《名カミラ・ウェーズリー 能力ギフト反逆ノゾムモノ】を獲得。

 加えて 創造主ガイアより【神之祝福ゴットギフト】を貸与。

 その為、加護『進化権』を獲得》


 色々獲得してしまった。へー、でも、才能、かな。


「294番、おーい、294番」


 さっきの変人の声が聞こえた。

 そうして俺の幸せなる妄想は砕かれ、現実世界へと引き戻されたのだった。

 変人めッ!


「今から何をするんですか?」


 俺は年老いた先生に聞いてみた。すると先生は、


「今から君が何の能力ギフトを獲得したのかを確かめるのだよ」


 と言った。付け加えて、


「その能力ギフトが戦闘向きでなくても授業内容は変わらないがね」


 と言った。フラグ、かな。

 嫌な予感がする。

 と、先ほどの和服の男性が近づいてきた。


能力ギフトを確認する」


 沈黙。何故沈黙なのか気になると思うが、これは正当な理由がある。

 やる気のなさそうな目でずっと見つめられたらどの様な話を振ればいいのか分からないし、そもそも振っていい様な時ではないからだ。


能力ギフトは【反逆ノゾムモノ】、加護は『進化権』だ」


 和服の男性が唐突に言った。実に自然な言い方だ。だが、


「な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!能力ギフトだけでなく『進化権』まで獲得するのか?しかも加護の中でも上位の『進化権』を!?」


 年老いた先生が驚いた様に言った。

 その声が聞こえたのか通りかかった生徒の中でもかなりの騒ぎになっている。と言うか新入生まだ残らされてたのか、今からまたなんかあるのか?


 俺のショーもない疑問とは裏腹に周りは大騒ぎだ。

 変人と和服と女性は騒いでいないけど。

 3人は騒いでいないけど、俺、意外にも出来るのか?

 できちゃう子なのか?俺は。

 1人でに俺は勝手な思考を働かせる。

 その間に周りの騒ぎはどんどん大きくなってゆく。


「せ、静粛にィ!!!!」


 と、そのざわめきは年老いた先生の一声で静まった。

 鶴の一声とはこの事を言うのか。

 でも待てよ?この先生はそこまで権力を持っているのか?校門を通る時にいた先生よりあまり服装が豪華じゃなーーー。

 や、やめよう。これからお世話になる先生に対してこう言う気持ちを持つのは。


「294番の能力ギフトには大きな問題がある!」


 前言撤回。何言ってくれちゃってんの?先生!

 大きな問題?大きなお世話だよ。


「問題ってのは何ですか?先生」


 俺は念の為聞いてみた。答えによってはーーーーー。

 俺が心の中で言い終える前に先生が口を開いた。


「君は馬鹿なのか?294番。君の能力ギフトは【反逆ノゾムモノ】。反逆ということは、この国の皇帝への反逆の意思があると言うことだぞ」


「俺には反逆の意思なんてまったくーーー」


「ん?ここにいる校長が演説の時に言ってたぞ。『能力ギフトは人柄によって決まるって」


 ば、バカぁぁぁぁ!

 何言ってんだよ。変人!

 と言うか年老いた先生、あんた、校長だったのか!

 俺はマジで無実だ。前世では天下取りたいって言ってたけど、前世だから。

 改心したから!


「なるほど!そう言うことか」


 納得するな。メガネをかけた生徒A。お前は俺の後ろだから俺が助からないと能力ギフト付与してもらえんかもしれないぞ!

 

「やだなぁ。俺は無実ですよ。【反逆ノゾムモノ】は正統なるこの国の麾下に入ろうとしない周辺諸国を変えるための『反逆』ですよ」


 思ってもいない事を言った。


 沈黙。


「と、とにかく、処分は後々決める。衛兵!294番を捕らえよ」


ーザッザッー


 衛兵が来た。

 捕まった。


「待て!俺は無実だ!」


「よくよく考えたらおかしいのだ!転生者が言ってたぞ!『前世のソ連の国旗は赤色だったと、ソ連は革命なるものを起こして建国されたそうではないか!」


「通りで赤髪なわけだ」「聞いた事があるぞ」「確かにこの国は正統だな」ーーーーー


 などと聞こえてきたが、この国の歴史なんて知らないよ。

 後、ソ連って、いつの話だよ!ソ連はなぁ、最後の方ハンガリーにGDP負けたんだよ!

 

「ええい!とにかく294番を、カミラ・ウェーズリーを牢につなげろ!」


「stop!stop!ほんとに俺は無罪だ!」


「ええい、何故外国語を使えるんだ!とにかく牢屋に入れろ!二度と出すなぁ!」


 校長でも勝手が過ぎるだろ、これは。


「待ってください。例え校長でも、これは流石にマズイのでは?」


 俺は冷静になって聞いてみた。


「儂は漆大王家ななだいおうけ、インスタ家の当主モハメドの異母弟ケレムであるぞ!」


 自慢、しているのか?


「ククク、ケレム殿、この赤髪もウェーズリー家の次女だぞ」


 よくやったぞ。変人。


「総合力で見れば下位だがな」


 NO〜〜〜。変人、何を言ってるんだ。後子供にそんな話持ち込むな!


「貴様はただの子供ではないぞ。貴族の子供だ」


 ク、さっきまで黙っていた和服の男性まで。


「そーだとも、そーだとも」


校長め、今に見てろよ。


「衛兵よ、何をしている!早く連れてけ」


「は」


「ま、待ってーーーーーー」


 俺の言葉を遮る様に衛兵によって牢屋へと連れてしまった。



 ♦︎♦︎♦︎



「今日は儀式だけ終わらせたら解散だ。議会を開く」


「かしこまりました」


 ケレムが壮年の騎士に言った。

 騎士はすぐさま実行に移す。


「ククク、あのガキ、やりますネェ」


 変人は言った。


「そうね、あの方に念の為報告しときましょう」


「俺は知らんぞ」


 そのそばでカミラの言うところの我の強いトリオが会話をしていた。



[牢屋]



「チッ」


 俺は軽く舌打ちをした。絶対に反逆してやる。

            絶対に。

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