プロローグ
更新は不定期です。よろしくお願いします。
ぼくは平凡なひとだったと思う。ふつうにクラスメイトと雑談するくらいには。対して嫌われているわけでもなく、かといってもてることもなく普通だったと思う。
そんな日常が終わりを告げたのは僕が小学4年生の頃だろうか。父と母が喧嘩をした。いままで何回も喧嘩をしていたけど1日後、遅くても1週間で仲直りしていた。しかしその時は喧嘩したっきり仲直りすることはなかった。その日は結婚記念日でお互い機嫌がよかったはずだったのに。夜ご飯を食べてからぼくは自分の部屋で静かに本をよんでいたのだがそこで喧嘩がおきた。このときは深夜帯なので市役所もやっていなかったのか、
「明日には離婚届を突き付けてやる。おまえといっしょに暮らしたくもないわ!」
「こっちこそ願い下げだ!」
そんな声がきこえてきて本が読めなくなった。耳障りとしか第三者には感じられないようなのをこれ以上聞きたくないので耳栓をして本をまた読み始めた。とはいえ完全に防げるわけでもなく集中して本が読めなかったので自分のノートパソコンで動画を見始めた。動画を4本見たあたりで声が聞こえてこなくなったので喧嘩は終わったと思い、すぐにパソコンをシャットダウンして眠りについた。
でもどうやら喧嘩は収まっていなかったようだ。母がいつも朝ご飯を用意しているのだが父の分はなく、父のためにいつも作っている弁当も今日は作っていなかった。僕は普通に学校があったので気まずさを感じながらも学校に行った。
学校が終わって家に帰ったらいつもはいないはずの父もいた。いつもに比べ真剣な顔つきをしている。二人の間には離婚届があり、本当に考えていたようだ。ただ離婚した後、親権がどちらにつくかがわからなかったのでそのことだろう。
「宗太はどっちについていきたい?」
「二人一緒にいてほしい」
「それができいなからいまこうやって宗太に聞いているんだ」
「ふたりは僕についてきてほしいの?ついてきてほしくないのどっちなの?」
「もちろん、宗太についてきてほしk..いにきまってるでしょ!」
「ついてきてほしいにきまってるだろ。あたりまえのことをどうしてきいてくるんだ?」
「僕は自分の部屋があってノートパソコンが使えるネット環境があればついてく」
「それは..」
「もちろん、じゅんびするさ!」
「じゃあ父さんのほうについていく」
2か月後⸺⸺⸺
「おい、まだできてねぇのか!もっとはやくつくれよ!」
「なんでまだ風呂が準備できてないんだ!ふざけんな」
「なんでこんな不味いものしかできないんだ!」
「学校で疲れただぁ?こっちはおまえの分の金も稼いでやってるんだ!素直に俺の指示に従え!」
「なんで洗濯してないんだ?明日着ていく服がなかったらどうしてくれるんだ」
「なんでごみを捨てに行かないんだ!家がごみ屋敷になるだろ!」
「なんで掃除しないんだ!部屋が汚れるだろ!」
「ほこりが落ちてるだろ!もっと丁寧に掃除しろよ!」
「なんで言われてからでないと行動できないんだ?!自分で考えて行動しろ!」
「なんでそんな簡単なこともできないんだ?!」
どれだけ頑張ろうが文句だけひたすら言われ罵倒され続けた。メンタルが崩壊しそうになるのを必死で我慢したり言い返すことがないように必死に自分を抑え続けた。
「どうしてこの程度のこともできないんだ?」
「どうしていまだに学習しないんだ?」
ついに暴力を振りは始めた。それにしっかり見えないように腕や足、顔にはやらないようにしているあたり悪質である。
「痛いよ。なんでこんなことするの?やめてよ」
「文句があるなら学習して行動で示せ!」
4年後⸺⸺⸺
中学2年生の時だろうか、世話を焼きたがる小鳥遊心菜という人が学級委員になった。僕が親からの暴力を受けた後の痣を見つけては
「大丈夫?」
と声をかけてきた。4年もこんなことやられれば感覚がおかしくなってくる。
「あんたには関係ない。」
「クラスメイトがそんな風になってるのをほっとけるわけないでしょう?次そんな痣とか見つけたらあなたの親のところ言って説得してあげる。」
「人の家の問題に介入するな。そもそもあんたには関係ない。いくらお前が善意でやったとしても僕にはただの迷惑以外の何でもない。ただのお前の自己満足だ。しつこい、鬱陶しい、かかわらないでほしい」
「自己満足なんかじゃない!」
「そうか。ならそんなことはほかでやってくれ。僕はあんたのことが会話をしたくないほどに嫌いだ。今こうやって話してるだけで時間の無駄だ。」
「そんなことって...」
「自分の行動くらい自分で責任とれよ。どうせお前はひかないだろうから。何があってもついてきたお前がわるいからな。」
「わかってる」
そいつは父さんに俺の目の前で───。
次の日、学校で
「宗太!小鳥遊にお前はなんてことをしたんだ?!」
「なんてことって何ですか?」
「自分のやったことだろ!とぼけるんじゃない!」
「何もやってないですよ」
「小鳥遊を殺しただと!」
「それは勝手についてきたあいつと無理やりに殺した父さんが悪い」
「なんでも他人のせいにするな!あと君の真面目で優しい父親がそんなことするわけないだろ!」
「だから僕はやってない」
「嘘をつくんじゃない!小鳥遊の両親も言ってるぞ!」
「だから僕はそn」
「嘘をつくんじゃない!」
その時にやっと教師は被害者の言葉以外に耳を貸さないことを悟った。そして父親は表面的にはいい人面をしている。なのでそんなことしないと信用されている。意味が分からない。なぜ無条件で信じられるのか。あいつらもあの愚図と同類だ。でも、なぜ叱られるとつらいのだろうか。なぜ罵倒されるとつらいのだろうか。なぜ、冤罪を押し付けられることでストレスをためてしまうのか。なぜ自分が悪いわけでもないのにこんな思いをしないといけないのだろうか。
「なんでまわりはあんなに幸せそうなのに、楽しそうなのに、なんで僕だけだけこんな目にあわないといけないんだ!悪いのは父さんで決して僕ではないのに。なんで僕だけが、なんで─────」
「そうか、僕に感情があるからじゃないか、気持ちがあるから、感情があるからこんな風に感じるんだ。だったらこんなもの消えてしまえばいいんだ。」
その時から僕の目、表情、態度、行動などあらゆる動作に対し人間味がなくなった。
その日から僕朏宗太には感情がなくなった。