秩父遍路 幻想巡礼 幻説秩父三十四箇所巡礼行記 第1夜 幻想秩父遍路旅行記 発端編 (全4夜)
秩父遍路 幻想巡礼 幻説秩父三十四箇所巡礼行記 第1夜 幻想秩父遍路旅行記 発端編
第1夜
いつのころからだろうか?
私の中に、朧な心象風景が兆し、かつ消えかつ現れては、綾華しの風景を形作っていったのは?
私の前世からの使命は果たしてこんなにも粗笨なものでしかなかったのだろうか?
それとも、いっかな、煩わしい、世俗の雑業にかまけるだけで、一生が終わるというのが、
私の今生の取り分でしかなかったのだろうか?悶悶としていた日々、
そんなある夜、私は夢を見た。
夢を見ないたちの私がはっきりと覚えている夢を見ること自体珍しいし、
またその夢はそうなるだけの衝撃をも、兼ね備えていたということでもあったのだった。
夢の帳はこうして開かれた。
私は修道僧の身なりで冥府の岸壁に立ちすくんでいた。
地獄界からは紅蓮のほむらが立ち上り私の膝元までまとわりつき、私の法衣は今にも焼き尽くされんばかりだった。
そのとき、はるか天上界から、銀輪のごとき声で私に呼びかけるものが居た。
「のう、そこな修行のものよ。お前は今から、滅罪の旅に出なければならない。
しては、よく聴かれよ。これがその教えじゃよ。」
「佛説過去現在未来絵入因果経」
その経文の映像が ありありと目の前に浮かび上がってきたのだ、
わたしは夢の目で、、それを読み解くのだった。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「ところで、、、、、、、、、」
再び道士の声が天界から聞こえてきた、、
「この浮き世をなんと考えたらいいか。この人生界は夢である。夢以外の何者でもない。
不確かであやうげでとりとめもなくつかみどころのないもの、それがこの人生道である。
過去は現在につながり、現在は果てしない未来に通じている。そうしてはるかな輪廻転生をつむいでいくのだ。」
わたし
「たしかに、、、
私というはかない、3次元有機水銀電球はほんの一瞬灯ったかと思うまもなく,ぽっと
消滅していく。その瞬時の燈明は暗無の下空世界を照らす人工ホタルだったのかもしれない。
かくして、夢の世界をさまよい歩く幽霊ウサギのような存在が私たちのこの世での真実の姿にほかならない。
道士「あわてることはない。生も夢なら死もまた夢だ。
夢の中で夢を見るようなこの人間道だ。
そしてそのなかで、仏は慈悲と菩薩行を唯一の道と説いたのだ。
それこそが無明世界を照らす唯一の無限燈明なのだ。」
わたし「夢の世で最後に生き残るもの、
それは慈悲(広い愛の心)と菩薩行(私心なき利他の行い)だけだというのだ。
そしてそれを説いたのがこの
「仏説過去現在未来因果経」という絶対の仏の智慧の経典だというのだ。
道士「ナーガルジュナ(龍樹菩薩)の「中論」よりも
バスバンズ(世親菩薩)の「唯識論」よりも
「阿毘達磨大彌婆娑論」よりも
「妙法蓮華経」よりも「ヨガ根本経典」よりも
「華厳経」よりも「大般若経」よりも「理趣経」よりも
「ミリンダ王問経」よりも
「碧巌録」よりも
「摩訶止観」よりも
超えた、仏の善智識の経典がこれである。」
道士「さてところで、お前は巡礼のたびに出なければならない。
そもそも巡礼とは、
西国三十三箇所、坂東三十三箇所、秩父三十四箇所あわせて百番観音霊場を言う。
お前はまず秩父三十四箇所巡礼に旅立つが良い。
理由はきくな。行けば分かる。」
、、、、、、そこまで言うと道士はふっと掻き消えたのである。
第一夜 終わる