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死神

作者: 平凡太郎

午前0時を過ぎた駅のホーム、終電も近いこの時間帯は人もまばらだ。その中に1人、ぐったりと疲れたサラリーマン風の男がいた。背が高く細身でヒョロっとした感じの20代ぐらいの男だ。





(あぁ疲れた、今日も終電だよ…毎日、毎日しんどいな…)


仕事で疲れ、ぐったりしており、とぼとぼとホームへと足を進める。黄色い線の上で足を止め電車を待つ。

『電車が通過します、黄色い線の内側までお下がりください』

この駅は各駅停車しか止まらないなので急行は通り過ぎるのだ。

男は連日の残業に睡眠不足もあって立ちながらウトウトしていた。ライトを照らしながらホームに近づいてくる電車。


(なんか眩しいな)

まばゆい光が男の視界一面に拡がり、スキール音を立てながら電車が通過していく。

程なくして乗る予定の各駅停車の電車が到着した。男は乗り込むやいなや倒れるように席に座った。遅い時間とあり席は埋まっておらず空席もある。いつものこの時間の風景だ。

しかしいつもと違っているところがあった。皆一応にうなだれているに見える

(皆オレと同じ疲れたリーマンばっかりだな、顔も青白くてまるで死人みたいだ。まぁオレもその中の1人か)

(あれ?外がやけに暗いな、こんな時間とは言えいつもはもう少し明るいんだけどな)


男が乗った駅から降りる駅までは10分程度なのだが、この日は様子が違っていた。一向に目的地に着かない、それどころかどの駅にも止まらないのだ。

(ん?急行に乗ってしまったか?いや、あの駅は各駅は止まらないはず…どういうことだ。それになんで皆おかしいと思わないんだ。)

乗客達は一応にうつむいたままでこの状況に焦る様子も、どこかに連絡しようとする様子も見受けられない。それになぜか車内が薄暗い。男は焦りとにかく辺りを見渡してみた。すると隣の車両から1人の人物がこちらの車両に入ってきた。黒っぽい上着を着て、フードのようなもので顔を覆っている。暗いせいもあり顔はよく見えない。

しかし、なぜかこちらを見ているのはわかった。

(ヤバ、目があった)

そのときなぜか背筋が凍るような感じがした。

(なんかに変な人に目付けられたかな、なんかヤだな)


すると、そのフードの人物はこちらに向かってゆっくりと歩いてきた

(通り過ぎてくれよ、通り過ぎてくれよ)

男を下を向いてやり過ごそうとした。しかし、そのフードの人物は目の前に立ち止まった。



「お……え……す」



(え、何?何か言ってる!)



「おむ……え……です」



(オレに言っているのか!?それとも独り言!?)



「お迎えです。」



(お迎え?何が!?誰を?)


男はとにかく焦った。怖かった。でもこの言葉の真意を知りたかった。フードの人物に対しての恐怖心もあるが、とにかくコイツは何者で何を言ってるんだ?という興味の方が勝った。

男はゆっくりと顔を上げ、そのフードの人物の顔を見ようとした瞬間、

強烈な頭痛に襲われた。そして遠のいていく意識……

(何が起きているんだ!なに……こ……れ……)








『人身事故だって』

『若い男の人らしいよ』

『なんか細身の人がホームをフラフラして』








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