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炎帝魔祖  作者: 夜斗
第一章 不想回来
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召喚

――自分勝手だと、罵られて良い、どれだけ醜かろうと、みっともなかろうと、それでいい。だから、だからどうか!あの人を救えるのは貴方しかいないから――


炎帝魔祖(えんていまそ)、と男は人々の中で禁句(きんく)となっているその名を躊躇わずに叫び、自身が描いた(じん)の中で、胸をかきだき、天を仰ぐ。


美しい顔は苦悶に歪み、額からは玉のような汗がしたたる。

ただ乱雑に木を積み重ねただけの小屋の中で、男はひたすらに祈る。


悪神、と罵られる彼に向かって。

世界中から、死んで良かったのだ、と嗤われる彼に向かって。


きっとこの願いは、祈りは、誰の耳にも届くことはない。

どの神でさえも目を背けるような、身勝手で、どうしようもない想いだから。


助けようと、慈悲深い誰かが手を差し伸べる価値だってない。


それでも祈る。

たった一人のために。

一人を救うために。



――たとえこの命に代えたって良い!あの人を。彼を、元に戻すことができるなら……!――



だから、どうか。



男の慟哭は、果たして(ちり)と化した彼の魂に届いたのか。

揺れる視界の中で、確かに男は笑うと、もう二度とは戻ることの出来ない世界を呆気なく手放した。

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