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慈愛のこころ  作者: scene
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少年編8

「こんにちはー。あのー、お取り込み中申し訳ありません。」


「少し聞こえてしまったのですがー。」


「もしかして、レジャーシートとか余ってます?」


その大家族の母親は少し恥ずかしそうな表情で、


「あっ!こんにちは~。そうなんですよー、こんなに要らないでしょうー。」


と言って旦那の方へ向き直り、にらみつける。


春子は愛想笑いと苦笑いをおりまぜながら、


「もしよろしければ、その余っているレジャーシートを譲って頂けると有り難いのですが?」


「うちはたくさん持ってくるどころか、うっかり忘れてきちゃいまして…。どうしようか困っていたところなんですよー。」


と今度は困った顔をつくる。


まあ、実際困っているのだが…。


すると母親は、


「いいですよ。こんなもので良かったら使って下さい。パラソルも持って行きますか?」


とこころよく言ってくれた。


「いいえ、もうシートだけで充分です。本当に助かります。ありがとうございます。」


春子もさすがにただで譲って貰うわけにはいかないと思い、とか言って金銭で払うのも失礼なので、クーラーボックスの中に入っている冷えたジュース類とリュックサックに入っているお菓子を、


「こんな物で申し訳ありませんが、よろしかったら子供さんにでもどうぞ。」


と母親に差し出した。


母親は、


「そんな気を使わないでください、困った時はお互い様ですからー。」


と一旦は断ろうとするが、春子が子供に直接お菓子の方を、


「これどうぞ」


と渡して、


「ありがとう。」


と子供が受け取ってしまったため母親も、


「もうー、あんたは!」


「どうもすみません。ありがとうございます。」


と言ってジュースの入った袋を渋々受けとる。


その後、お互いに深々と頭を下げ、先に大家族の方が浜辺に向かって歩きだした。


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