第82話 懊悩と出発と
露華の面談から、二晩明けて。
結局約一日半かけて考えても何の解決方針も立てられないまま、今日は貫奈との『デート』当日である。
「それでは春輝さん、私たちはもう出ますので」
ちなみに、春輝に先んじて三人も朝から出かけるらしかった。
「伊織ちゃんと露華ちゃんは、日雇いのバイトだったっけ……? 借金問題はとりあえず解決したんだし、あんまり無理はしないようにな?」
事前にそう聞いていたので、一応軽く注意を促しておく。
「は、はいっ! そうでしゅね!」
すると、なぜだか伊織からやたらと動揺の気配が伝わってきた。
「……?」
「だいじょぶだいじょぶ、たまたま割のいいバイト見つかっただけだからさ」
春輝の疑問の目から伊織を隠すように、露華がスッと前に出てくる。
「ねっ、お姉?」
「は、はいっ! そうでしゅね!」
ただ、隠せているかはかなり微妙なところであった。
「えーと……白亜ちゃんは、配信用の撮影に行くんだっけ? 今日は普通の服なんだ?」
とはいえあまり触れてほしくないのならと、気を使って春輝の方から話題を変える。
「そう。コスプレは、普通の街中でやるにはちょっと目立ちすぎるから」
「なるほどね。流石白亜ちゃん、しっかり考えてるんだ」
「大人なんだから、当然」
そうは言いながらも、春輝に撫でられて白亜はムフーとご満悦の表情だった。
「あの……さ、露華ちゃん」
白亜の頭から手を離し、露華に呼びかける。
「うん? どしたん?」
小首を傾げる露華。
その表情は、いつも通り……の、はずが。
どこか憂いを含んで見えてしまうのは、例の件について春輝が気にしているがゆえなのだろうか。
「俺……」
声をかけたは良いものの、何と言って良いものやらわからなかった。
露華の問題への解決策が何も浮かばないまま出掛けることへの、後ろめたさのようなものはある。
だが、それを彼女に伝えたところでどうなるものでもあるまい。
「春輝クン、桃井さんとのデート楽しんできなよっ」
そんな春輝の葛藤を察したのだろうか。
露華は後押しするかのように、春輝の背をパンと叩いた。
「ほんじゃ、いってきまー」
そして、春輝が何か返す間もなく玄関から出ていく。
「すみません、それじゃいってきますね」
「いってきます」
露華を追いかける形で、伊織と白亜も玄関を通っていく。
「あぁ……いってらっしゃい」
その背に、挨拶の言葉を送って。
「……俺も、そろそろ出ないとだな」
心は重いままだが、だからといって時間が止まってくれるわけもなく。
春輝も、出かける準備に入ることにした。
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内気で引っ込み思案な幼馴染からの告白を断ってから、3年。
再会した幼馴染はなぜか正反対な性格になっていて、「今度こそは、私に惚れさせてみせますからねっ?」なんて言い放ち……!?
ってな感じの、両片思いのハイテンションラブコメでございます。
楽しんでいただけるものに仕上げたつもりですので、こちらもどうぞよろしくお願い致します。






