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第77話 教室と孤独と

 オフィス内に漂うどこか浮ついた空気を感じながら、春輝が悶々とした気持ちを抱えて日常を過ごしている一方で。


「……はぁ」


 放課後の教室で、露華は溜め息を吐いていた。


 座席は、窓際の一番後ろ。

 手元に落としていた視線を、何気なく窓の方へと向ける。

 すると、自分の方に向けられていたいくつかの目がガラスに映り込んでいることに気付き……露華がそう認識した瞬間に、露骨にそれらの視線が逸らされた。


「あの色気、やっぱさー。そういうことかなー?」

「俺もワンチャンあったりしないかなー」

「ははっ、お前じゃ無理だっての」


 そんな、男子の声。


「あれって、やっぱカレのことで悩んでるのかな?」

「悩むこと、多そうだもんねー」

「羨ましいような、そうでもないような……」


 そんな、女子の声。


 それぞれの囁きが、小さく露華の耳に届く。


(聞きたいことがあるなら、直接言ってくればいいのに)


 そう、内心で独りごちた。

 むしろ、露華はそれこそを待ち望んでいるのだが。


(ま……みんな、善人寄りってことなんだろうけど。良くも悪くも、さ)


 視線に悪意の類がほとんど感じられなかったことから、露華はそう判断している。


 もっとも、だからこそ厄介でもあるのだが。

 悪意に対してならば露華としてもそれ相応に立ち回るつもりだが、興味本位で遠巻きに見られるだけというこの状況は何とも動き辛い。


(……っていうのは、言い訳かな。能動的に働きかけられないでいる自分への)


 半ば以上無意識に、口の端が皮肉げに持ち上がった。


(何せよ……それよりも、今は)


 それもまた言い訳で、逃げの思考であることは自覚していたけれど。


(これをどうするか、だよねぇ……)


 再び、手元のプリントへと目を落とす。

 先のホームルームにて全員に配布されたものである。

 内容もごくありふれたもので、これを問題視する者は極少数であろう。


 とはいえ、今の(・・)露華はその少数派に属する立場であり。


(……まぁ、アレだよな。こっちの事情は先生も知ってるし、黙っときゃわかんないっしょ)


 そう心の中で断じて、プリントを雑に鞄へと突っ込んだ。


 そして、鞄を持って席を立つ。

 教室の出入り口の方に歩き始めると、クラスメイトたちがサッと道を譲っていった。

 結果、露華は何に阻まれることもなく廊下まで辿り着く。


(ははっ、なんかウケる)


 その様がなんだかおかしくて、誰からも見えない角度で笑みを浮かべた。


 それが本心からのものなのか、強がりの結果なのか。


 自分でも、よくわからなかった。

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