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第50話 恋心と……

 露華に膝枕されたり白亜に頭を撫でられたり……といった出来事があった、翌朝。


『いってきます』


 春輝と小桜姉妹は、四人揃って人見家の玄関を出た。


「いやぁ、しっかしアレだねぇ」


 駅の方へと歩き出しながら、露華が頭の後ろで手を組む。


「こないだまでに比べて気持ち的にはメチャクチャ楽になったけど、いざ学校に行くってなるとそれはそれでダルい感も無きにしもあらずだよねぇ」


 はぁ、と小さく溜め息。


「少しだけ同意する」


 露華の言葉を受けて、白亜もコクリと頷いた。


「もう、二人とも何言ってるの! 春輝さんに感謝して、しっかり勉強してきなさい!」

『はーい』


 指を立てて叱る伊織に、二人が気のない声を返す。


「ははっ、まぁ学校って基本タルいもんだもんな。気持ちはわかるよ」


 春輝はそうフォローして笑った。

 もっとも学生時代の記憶など既にだいぶ曖昧になっており、当時の気持ちを思い出すには少々苦労したが。


「だよねー? だ・か・ら」


 言いながら、露華がスススッと身体を寄せてくる。


「やる気を補充するために、春輝クンパワー……ちゅ、注入!」


 そして、そんな言葉と共に春輝の手を握ってくる。


 直前に一瞬躊躇するような気配があった気がするのは、春輝の見間違いだろうか。


(……なんか、いつもより控えめだな?)


 腕に抱きついてくるくらいは想定していたので、少し拍子抜けした気分だった。


「……わたしも、ハル兄からパワーをもらう」


 と、今度は白亜が逆側の手を握ってくる。


「うん、やる気出た」


 春輝を見上げる表情には、言葉通りに妙なやる気が感じられた。


「こら、そんな風にしたら……えと、春輝さんが歩きにくいでしょ?」


 再び苦言を呈する伊織だが、先程よりもだいぶトーンダウンしている気がする。


 二人に向けた言葉だろうに、なぜかチラチラと春輝の方を窺ってくるのも気になった。


(うーん……昨日、露華ちゃんは下手に触らない方がいいって言ってたけど)


 流石に例の借金クラスの話がまた隠れているとは思わないが、何か悩みがあるなら打ち明けてほしいと思う。

 早めに言ってくれた方が、力になれることも多いはずだ。


(うん……家族、だもんな)


 そう考えて、春輝は一つ頷いた。


「あのさ、伊織ちゃん。何か困ったことがあるなら、遠慮なく言ってくれよな」

「あっ、いえ、別に、そういうわけでは……」


 小さく首を横に振る伊織だが、露骨に歯切れが悪い。


「もしくは、俺に不満があるとかかな? 悪いところがあるなら、ちゃんと直すからさ」

「春輝さんに不満なんて、一つもありません! あるわけないです!」


 かと思えば、今度は力強く言い切られた。


「そ、そう? まぁいずれにせよ、無理に言う必要は……」

「だって、私……!」


 ないけど、と言いかけたところに伊織の言葉が被さる。


「私……!」


 その目はグルグルと回っていて、テンパっていることは明らかだった。


(ここまでは、露華ちゃんの言う通りだな……)


 見慣れた光景に苦笑しながら、春輝は彼女が落ち着くのを待つことにする。


 そんな中、伊織は大きく息を吸い込んで。



「私、春輝さんのこと愛してますから!」



 一際力強く、言い切った。


 ヒュウゥ……と、一陣の風が吹き抜ける。


 その春風に全ての音が掻き消されてしまったかのように、場を沈黙が支配した。


 周囲の喧騒も、今の春輝の耳には入ってこない。


 全員が固まったまま、たっぷり数秒は経過して。


「……そういう方向にテンパったかー」


 あちゃー、とばかりに露華が自身の目を手で覆い。


「……おぉ」


 白亜が、感心したように目を瞠って。


「………………えっ?」


 春輝は、呆けた顔で呆けた声を上げた。


 そんな中で……また、しばらく沈黙が流れた後に。


「………………あっ」


 伊織が、ハッとした表情となって。


 その顔が、見る見る真っ赤に染まっていって。


 そして──

ここまでで、第1章終了でございます。

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