第8話◎
ログアウトして戻ると、涼華はヘッドを外し僕が戻るのを待っていた。
「もうなんで、エルフじゃないのよ!」
「あぁ……最初はエルフにしようと思ったんだけど、錬金術に興味が湧いちゃって」
「だからって、上級者向け選んでどうするのよ!」
「え? そうなの?」
「そうなのって……非戦闘種族じゃん」
はぁっとここでも大きなため息をつく涼華。
そう言われればそうだけど、アイテムで攻撃出来るし。
「大丈夫! アイテムで攻撃出来るみたいだし。ヒールになるアイテム作るし」
「それ、いつ出来るの?」
「回復薬ならもう作れるけど……」
「え? そうなの? ポーション作れるの!?」
ポーション? 普通ポーションって液体だよね? 僕が作ったのは粉。もしかして、あれから更に加工するの?
「いや僕が作れるのは粉」
「粉? 粉って何?」
「えーと」
やっぱり僕が作っているのは、流通していないの?
「えっと、よくわからないけど粉薬? そ、それよりさ。よく、僕だとわかったね」
話題を変えたなっという顔で、涼華が僕を見ている。
「あんな格好で僕っ子だったからね」
「僕っ子……。そうだった! 見た目女の子だからそうなるのか」
「本当に抜けてるわね~。で、ヒールは取得してないのね?」
「うん……」
「じゃ、サブ何とったの?」
「応用って言うスキル」
何それという顔つきになった。
「一つ聞くけど、アキって攻撃力いくつ?」
「1……」
「いち~! 武器は?」
「武器?」
そう言えば、ナイフすら持っていなかったような……。
「あなたねぇ。一緒にプレイしたいって言うなら少しは考えなさいよ!」
僕が、持っていないと答えなくてもわかったみたいでそう言われた。
まさか武器すらないなんて思わないじゃん!
「明日までに武器を手に入れるか、アイテムで攻撃出来る様になりなさいよ」
「そんな無茶な! 武器装備したって攻撃力ないと思うけど。涼華って攻撃力いくつ?」
「17」
17!? 増えたって攻撃力1ぐらいだと思う。
アイテムだって、すぐに作れるわけない。材料だってレシピだって知らないんだから……。
「武器は買うけど、気休め程度だと思うけど? まだ戦闘してないからわからないけど。アイテム作りは頑張るけど、明日までにって言われても……」
「もうしょうがないわね。ちゃんと錬金術のスキルゲットするのよ。で、凄い装備作ってよ!」
「うん……まあ。頑張る」
「じゃ、続きするわよ」
そう言って涼華は、ヘッドを被ろうする。
「ちょっと待って! 念話の仕方教えてよ」
「あれは、アキにって思うと、アキに送れるの。一回やってみればいいよ」
「うん。後、僕は自分の部屋に戻ってから続きするよ」
「そう。わかったわ」
「あ、そうだ。何で他人のふりなの?」
「あのね。最初から知り合いだって言ったら、根掘り葉掘り聞かれるでしょう? 入れ替わったのが、ばれたらどうするのよ」
あぁ、そういう事か。
色々面倒だな。
「じゃ、僕は戻るね。チュートリアル終わったら連絡入れるから」
「うん。わかった。私は、先にINしてるわね」
そう言うと、涼華はヘッドを被った。
見送りしてくれないのか~。
僕、ゲームに負けている……。
涼華の父さんにお礼を言って僕達家族は、隣の自宅へと帰って来た。
そして、父さんにほどほどになと言われ、自分の部屋でヘッドを被る。
兎に角早く、錬金術のスキルを手に入れよう!




