第4話
はあ……。ゲーム始まっちゃったよ。
って、ここが僕の部屋? 質素な部屋だ。
僕は、ベットに寝ていた体を起こした。
服のまま寝てるし。
「アキ。あ、起きたわね。お願いがあるの。おばあちゃんが、熱を出したから薬草を採って来てほしいのよ。青い花の青薬草よ。北に向かって行くと森があるから。入らなくても脇に生えているから。いい事、あなたはサーチを持っているから敵を避けつつ摘んで来るのよ」
って、たぶん母親だと思われる人に言われた。
僕は一応頷く。
なんとか、チュートリアルを終わらせて、早く涼華に会わないと!
母親からもらった鞄を斜めに掛けて、玄関に立つと声を掛けられた。
「ごめんね、アキ。本当に気を付けて。鞄に煙玉が入っているから、もし万が一に、モンスターに出くわしたら使うのよ」
「うん。行って来る」
僕は、ドアを開け外に出た。
大自然だなぁ。
マップらしき物がうっすらと右上に表示されている。
今いる場所は、自宅と表示されていて、薬草の小さな森という文字も見えた。たぶん目的地はここだ。
僕は、そこに向かって道なりに歩く。
長閑だな。モンスターの気配がないどころか、人すら歩いていない。これなら大丈夫そう。
薬草の小さな森についた。
マップの森の中に、赤い点がいくつか見える。点が動いているし、あれが敵だよね。
さっさと薬草を摘んで戻ろう。
青い花を見つけた。これかな?
ブチ。僕は、青い花を採った。
――『採取』を獲得しました。
「………」
滅茶苦茶簡単に獲得出来るんだね。
よし、帰ろう。
僕は、走って帰った。いや、モンスターが出て来たら困るからさ。
「ただいま。はい、これ」
「ありがとう。帰って来た所悪いんだけど、これをラダライド街に行って卸してくれない? 薬問屋のマードさんよ」
「うん。わかった」
「あなた方向音痴だからねぇ。いい。真っ直ぐ道なりに行けば街だから寄り道しちゃだめよ」
「……うん。行ってきます」
渡されたのは、小瓶だ。中には粉が入っている。これってなんだろう? まあいいや。鞄に入れておこう。
僕は、鞄を開けた。
うん? 煙玉以外に何か入っている。後で確認してみよう。
「行ってきます」
外に出るとまたマップが表示される。
「えっと、ラダライド街は……。あ、さっきの道を進めばいいんだ」
ラダライド街は、薬草の小さな森のずっと向こうにあった。
たぶんここら辺は、道にはモンスターは出て来ないみたいだな。
マップに赤い点は、表示されていない。でも僕は走る!
早くチュートリアルを終わらせて涼華に会わないと!
ふう着いた。
街には塀で囲いがしてあって、門がある。
皆普通に出入りしているみたいだし、僕も門をくぐった。
広いなぁ。薬問屋を探さないと。
人に聞いた方が早いかな? マップは消えていた。どうやら街とかだと表示されないみたい。
「すみません。薬問屋ってどっちですか?」
「どの薬問屋だ?」
どの? いっぱいあるの?
名前何だっけ? モードさん? 違う名ぁ。うーんと、マードさん? だった気がする。
「マードさんだと思う……」
「右だな」
「ありがとうございます」
僕は、門番に聞いた。右を指差し教えてくれて、僕はそっちに歩き出す。
色んな看板がある。さて、薬問屋はどれだ?
ここかなぁ。薬瓶みたいなマークがある。
「あの、すみません」
「はい。あぁ、アキちゃんか」
……ちゃん。いや、女の子だからちゃんなんだろうけど。
「えっと……マードさん?」
「うん? 何だい? 調合した粉薬を持って来たんじゃないのかい?」
この人がマードさんらしい。よかった。
「持ってきました。えっと。はい」
鞄から小瓶を渡す。
「はい。代金ね」
お金をもらった。日本のお金に似ている。100って書いてある。それ一つだ。
「それと、これね。お母さんに渡してもらえるかな?」
「うん」
「気を付けて帰るんだよ」
「はい」
何かマードさんが、すまなそうな顔つきで紙を渡して来たんだけどなんだろう?
僕は、紙に書かれた内容を読んだ。
『再登録のお願い』というタイトル。
法が変わり、調合のスキルを所持している方は、再登録して頂く事になりました。
スキルレベル5以上で、取引が可能です。
また、登録の際は、お手数ですがレベルの確認を行いたいと思いますので、薬問屋マードまでお越しください。
ふーん。スキルってレベルがあったんだ。
あれ? もしかしてさっき渡した小瓶って、調合して作った薬なのかな?
じゃお母さんも持っている設定?
やり方色々聞いてみよう!
僕はこの時、そう単純に考えていた。