第3話
ここはどこだ?
あたりを見渡すと、ふっと目の前が明るくなった。
鏡があるようだ。自分が映っている。
って、胸があって女性の体で下着姿なんだけど!
――まずは、名前を決めて下さい。
頭に声が響いた。
「アキ」
驚いたけど、決めてあったので直ぐに答えた。
――アキで登録します。宜しいですか?
「はい」
僕は頷いた。
――では、アキさん、次は種族を決めて下さい。
そう言われると目の前の鏡に映っている僕が、姿を変えた。
――エルフ、竜族、レイティーの三種族。
エルフは、魔力が高く最初から攻撃魔法とヒールを獲得した状態で始められます。
竜族は、力と体力があり、重い装備も可能です。魔法は使えませんが、スキルを獲得出来ます。
レイティーは、補佐魔法やスキルを覚えます。また錬金術が出来る種族です。最初から、サーチを獲得しています。
そう説明を受けた。
きっと涼華は、竜族を選ぶだろうな。だったらエルフの方がいいのかな? ヒールもあるし。
でも錬金術が出来るレイティーも魅力的だ。
そうだ。サブスキルで、ヒールみたいのを取ればいいじゃないか?
そういう事でレイティーにしよう。
「レイティーでお願いします」
――レイティーで宜しいですか?
鏡にレイティーの姿が映る。
見た目は人間の女の子。実際の年齢より幼く見える。
「はい」
――次に、魔法かスキルをこの中から一つ選んで下さい。
なんかいっぱいあるんだけど。
目の前に、文字がいっぱい表示された。
取りあえず、錬金術を探すかな。ってない!?
「あの、錬金術ってメインにできないんですか?」
――錬金術は、採取と調合を取得後、錬金術イベントクリア後にスキルを獲得できます。
因みに採取は、種族に関係なくチュートリアルで覚えるスキルです。
そっか。じゃ、この調合を選べばイベントクリアすると錬金術が出来る様になるって事だ。
「じゃ、調合でお願いします」
――メインが攻撃系の魔法やスキルではない場合、ソロでの戦闘はほぼ無理になりますが、調合で宜しいですか?
「はい」
僕は頷く。
――では、サブスキルもお選び下さい。こちらで攻撃系を選ぶのをお薦めします。
なるほど。そういう手もあるのか。
どれどれ。
ヒールもある。魔法攻撃系、弓攻撃……うん? この応用ってなんだろう?
「応用ってどんなスキルですか?」
――言葉通りです。調合でしたら材料がなくても代わりのモノで代用し、作ったりするスキルです。このスキルがなければ、代替えはできません。つまりレシピ通り作らなければ、調合は成功しません。
おぉ、これいいかも!
たとえば、傷薬を作るとして、Aという材料が無い場合、Bという材料を使って作れるかもってことだよね?
錬金術を目指すなら必要なスキルだ! これにしよう!
ヒールできなくても、錬金術で回復してあげよう。
「応用で!」
――応用で宜しいですか? 戦闘系のスキルも魔法もありませんので、戦闘に参加してもアイテムで攻撃しかできませんが、宜しいですか?
アイテムで攻撃出来るんだ。だったら問題ないじゃん。
「はい!」
――では、最後に服装をお選び下さい。
まるで、服屋さんみたいにハンガーにかかった服が数種類目の前に出て来た。
手に取ると……スカートなんだけど!
いや僕、女の子のプレイヤーって事になってるから当たり前だけど、着るのには抵抗がある。ズボンはないのか!?
あった。一着だけ。でもこれ……襟元フリフリで、短い短パンなんだけど。いや短パンだから短いのは当たり前だが、太もも丸出し。
うーん。スカートよりはいいか。これにしよう。
「これで!」
――その服装で、よろしいですか?
「はい」
僕自身が言うのも変だけど、可愛いキャラだ。
髪は、茜色で肩ぐらいのショートカット。服は丸首でフリフリがついている。袖は、半袖でポコッと膨らみ、縁がフリフリになって、色は白。
ズボンは、股までの超短い短パン。色は赤で、ベルトは黒。
たぶん実際の僕の背丈より低い。
――これで設定は終了です。お疲れ様でした。
では、『エレメンタル・ファンタジー』の世界をお楽しみ下さい。
あ、そうだ。戦闘をする前に、涼華と会えるのかな? いやその前に、戦闘出来なくてもチュートリアル進められるの?
あぁ。またやってしまった。なんで僕って、こう抜けてるんだ~!!