第2話◎
「「お誕生日おめでとう!」」
僕、相馬晃渡は今日、16歳の誕生日を迎えた。
そして、隣に座る幼馴染の立花涼華も同じく誕生日を迎えた。
僕達は、同じ誕生日なんだ。
家が隣同士の僕達は、毎年一緒に誕生日を祝ってもらっている。もう16歳だからしなくてもいいんだけどなぁ。ちょっと恥ずかしい。
幼稚園から高校まで一緒の彼女は、僕より男っぽい。髪も短いし、行動もサバサバしている。
それに対して僕は引っ込み思案で、一緒に居るとどっちが男かわからない時がある。
「さあ、誕生日プレゼントだ」
「きゃー! お父さんありがとう」
「約束通りゲーム機だ」
ゲーム機で喜ぶ16歳の女の子って……。
しかも約束していたんだ。
「はい。アキくんにも」
「え! 僕にもですか?!」
「こんな高いもの頂けませんよ。立花さん」
僕の父さんが驚いて言う。
「いえ。もうこれ、それぞれセットしてあるので、戻されても困るんですよ。うちの最新作で今日発売です! 是非感想をおねがいします」
「え? これってもしかして、VRゲーム機?」
僕が驚くと、隣に座る涼華がにやりと頷く。
娘の誕生日に発売なんて……。
「わかりました。ありがとうございます」
う、嬉しいかも。VRゲーム初体験だ。
「すみません。うちの息子の分まで……」
涼華の父さんは、ゲーム会社に勤めている。
僕の憧れの男性だ。将来は、涼華の父さんみたいな素敵な男性になりたい。
「いえいえ。VRゲームは、現実の様な体験ができるゲームなので、よからぬ奴もいるかもしれない。アキくんに涼華を守ってもらおうかなってね。性別は、女性なら女性なので一緒にプレイしてもらえると助かる」
「わ、わかりました」
僕、頼られているんだ!
よし、ここで涼華にいいところを見せて……。
「ムリムリ! ゲーム下手だし」
「VRだしわかんないだろう?」
「虫すらギャーって言うのに大丈夫?」
「……虫、出て来るんですか?」
虫は大の苦手だ。
ついそう聞くと、皆に大笑いされてしまった。
あぁ、大失敗。
「よし、やるやよ!」
ガシッと手を掴まれ引っ張られる。
「え? 今から一緒に?」
「いいじゃん。いつもまったりしてから帰るでしょう? 一、二時間する時間あるって!」
「はぁ。わかったよ……」
まあ、チュートリアルぐらいやっていくかな。後は、ゆっくり自分の部屋で。
「すまないね。我が儘の娘で。君達のは特別規格で、サブスキルを最初から選べるから少しは有利に進めるだろう。楽しんでな」
「え! そうなの? お父さんわかってるぅ」
ルンルンで僕の手を引っ張って、自分の部屋へ向かう。
二人で一緒にプレイ。いいかも。ゲームの中なら僕でも活躍できるんじゃないかな?
部屋に入ると涼華は、パタンとドアを閉めるとジッと僕を見つめて来た。
「な、何?」
ドキドキドキ。
なんか、涼華が真顔なんだけど……。
「お願いがあるの?」
「うん。何?」
「これ、交換しよう」
これって差し出されたのは、VRゲーム機の本体だ!
「なんで?」
「私、男でプレイしたいのよ! 本来は、本人承認を取って始めるらしいんだけど、それはお父さんがしてくれているみたいなの。だから後は、最初にプレイした人が登録される仕組み」
「え? それって、僕が涼華の使うと僕が涼華として認識されちゃうって事?」
「そう言う事。譲渡出来ない様になっているって、この前聞いたんだ。いいでしょう?」
いや、そう言うのはダメじゃないかなぁ?
そういう事をしないためのシステムじゃないの? ゲーム会社の家族がそれやっていいわけ?
それにそれじゃ、僕が守ってやれないじゃないか。
「別に不正してるわけじゃないじゃん」
「いや、不正だろう……」
「これも私を守る一つの手段だよ。別に性別入れ替えて悪さするつもりじゃないからさ。お願い」
って、手をあわせられちゃったよ。
はぁ……。だから二人一緒にやりたかったわけね。
実際ヘタレな僕が、涼華を守れるかわからないし、一緒に出来るならいいか。
「わかったよ。でも一緒にプレイだからね!」
「OK! あ、そうだ。先に名前だけ決めておこうか。そうだなぁ、わかりやすく、私は『リョウ』アキもそのまま『アキ』」
「わかった。それでいいよ」
別に気に入ったキャラ名はないからいいや。
僕達は、ゲーム機を交換した。
「じゃ、ゲーム内でね」
そう言うと涼華は、床に座ってヘッドを被り、クッションを間に入れてベットに寄しかかる。
僕、絶対に男だと認識されてないよね……。
僕もヘッドを被り、涼華の横で同じ体制でゲームを始めた。