第15話◎
「行ってきます!」
次の日僕は、学校に行くのに外に出て驚いた。涼華が居たんだ!
「おはよう」
な、なんで涼華が僕を待っているの?
ドキドキして、声に詰まる。
「ちょっとまだ寝ぼけてるの?」
「あ、うん。いや……お、おはよう」
小学校の高学年ぐらいからは、あまり一緒に学校に行かなくなり、中学生になると別々に登下校。
高校も同じで、今までバス停にまでも一緒に行った事なんてなかったのに……。
「バスに乗り遅れるから歩きながら話すわよ」
そう言って涼華は歩き出すから慌ててついて行く。って、隣に並んでいいのだろうか……。
「で、チュートリアルは終わったの? 昨日一応連絡待っていたんだけど!」
あ! そうだった! そう言ってあった。それを言う為に待っていたの?
「えっと。よくわからないんだよね」
「わからないって。スタート地点に戻れなくなったら終わりみたいだよ」
「そうなの? じゃ、まだかな……」
「まだぁ!? おそ! いい? 今日は7時からやるからね!」
そう言うと、スタスタと早歩き。
一緒にバス停まで行くんじゃなかったのかぁ~!
ちょっと嬉しかったのに。
涼華の後ろ姿を眺めつつ、僕はヘタレなので待ってとも言えず後ろを歩いてバス停に向かった。
でも幸せなひと時。イスに座った涼華の横に立って登校できた。
「よう! おはよう、相馬!」
「おはよう」
隣の席の彼は守屋。この高校に来てから友達になった。
「なあ相馬。一緒にVRゲームやらないか?」
「へ?」
「昨日から始まったエレメンタル・ファンタジーってヤツでさ」
僕は、ギョッとする。それは無理だ。やっているとも言えない。涼華とゲーム機を交換した事がばれてしまう。
「む、無理言うなよ。そんなお金ない!」
「そっか。でもさ今、ご優待キャンペーンって言うのをやっていて、抽選でゲーム機が当たるかも知れないだけど。俺もゲーム内のアイテム当たるかもしれないからさ、どうかなって……」
「へえ、そんなのやってるんだ。凄いな」
「だろう? もし興味あったらさ、公式ホームページ見て……」
「公式! あるの?」
「あるだろう普通」
そう言われればそうだ。涼華のやつ、やるのわかってるんだから見ておけよな。面白さ半減するからそういうの見ないの! っていつも言っているけど、見ておけば、いやせめてプレイする前に僕に教えてくれれば……エルフ選んでいたと思うんだけど。
はぁ……。
昼休みに僕は、スマホで公式ホームページを閲覧。
僕は、パソコンを持っていない。涼華は持っているんだよなぁ。いいな……。
あった。守屋が言っていたのはこれだ。
抽選で一名様って……無理だろう。
あ、種族説明がある。キャラを選ぶ時に言われた事も書いてあるな。
エレメンタル・ファンタジーは、精霊が加護する世界。
精霊と契約する事で、能力がUP! だって。精霊と契約出来るんだ。
エルフ――最も精霊に愛されている種族。魔法が得意で、攻撃と回復を使いこなす。
竜族――力と体力があり、色んな武器屋防具を装備する事ができます。装備品で、グーンとステータスUP!
レイティー(人間)――錬金術を使いこなせるようになる種族。最初は、三種族の中で一番弱いが、錬金術の工夫しだいで、攻撃や装備品強化が可能!
一番弱いんだやっぱり。
仕方ない。レイティーでやる場合の攻略みたいなの載ってないか探すかな。
最初はファイヤーがお薦め。調合するのにいずれ「火」が必要になります。「調合」スキルは、レイティークエストで覚える事ができます。
マジか。知っていたらファイヤー選んだのに……。
あ、これって……。
プレミアムセット――このセットでご購入頂きますと、スタート時にサブスキルと枠がある状態でスタートでき、スタートが楽になります。
僕達のはこれだ! おじさん高いのくれたんだ……。
本来レイティーは、「サーチ」とメイン用のスキルか魔法一つで始めますが、こちらをご購入頂いている場合は、サブ用スキルか魔法を一つを選べます。
攻撃魔法とヒールを選べば、最初ソロでも戦闘可能になり、ランク上げが楽になります。
と、レイティーの場合のが書いてあった。
うーん。攻撃魔法もヒールもない僕は、攻撃アイテムをつくるまで何もできないよね。何故僕は、あの時大丈夫だなんて思ったんだぁ!!
あ、イベントが書いてある。
本日19時より、「鞄職人のお手伝い」イベントを開催!
クリアすれば、リュックを手に入れるチャンス! そのほかにもサブイベントで色んなモノをゲットできるチャンスです!
涼華が7時からやるって言っていたのはこれを知って……なるほど、ログアウトしてから結局、このサイト見たんだな涼華は。
って僕は、このイベントに参加出来るのだろうか?




