第11話
「マードさん、また持ってきました」
「おぉ。どれどれ。これは、全部オリジナルか!」
僕は、そうですと頷く。
「あ、そうだ。採取袋がほしいのですが、いくらですか?」
「ここで売っているのは、小さいのだがいいか? 値段は1,000G」
「はい。それでいいです。その分を差し引いて下さい」
マードさんは、了解した頷いた。
今回は、瓶しか鞄に入っていない。どうやら中身が入っている瓶は、容量が2になるらしく、10個しか持ってこれなかった。不思議な事に、お金が入っている袋は、容量としてカウントされないようだ。
「はい。採取袋と200G。採取袋は、腰に着けるといいよ」
「ありがとうございます」
早速袋をベルトにくくり付ける。
そして、200Gで瓶を20個買った。おかげで今回は収入無し。でもこれで、採取して帰れる。
また薬草の小さな森で、黄色い花を10本採取した。『採取』がレベル3になった。順調にスキルがレベルアップしている。
採取袋には、5本しか花が入らなかったので、後は手で持って帰った。
家に帰ると手に持った5本を調合する。瓶10個分出来上がった。
はぁ。楽しいけど同じ事の繰り返しは飽きるなぁ。普通は、レベル上げは戦闘だけど僕の場合は調合。早く違う調合もしたいなぁ。
とにかく組合に登録すればレシピが貰える。そうしたら調合の幅も広がる!
出来上がった粉の瓶を鞄に入れ、前回作った分は手に持って行く事にした。
「また持ってきました」
「頑張ってるな」
そう言って受け取ると一つ一つ蓋を取って中身を見て確認している。
そう言えば前に、僕の調合スキルが6だったって言っていたけど、鑑定スキルでも持ってるのかな?
「あのマードさんて、鑑定のスキルを持ってるんですか?」
「あぁ、レベルは低いけどな。調合の良し悪しは判別できる」
「それ、どうやったら取得できますか?」
「そうだな。まずこれは君が作ったポーションの素だ。で、こっちが調合レベル50のポーションの素。違いがわかるか? こうやって見比べる事によって目を養って獲得するしかないな」
そっか。採取も採取して覚えたもんね。
うーん。見てもよくわかんないな……。
「あの、もっと見せてもらってもいいですか?」
「あぁ。ここで見て行くならな」
そう言って見せてくれた。
調合に少し飽きて来ていた僕は、色んな粉を見せて貰った。
「そうだ。これは、そのポーションの素を使って作ったポーションだ」
マードさんは、人差し指ぐらいの細長い瓶を2本持って来た。
「同じHP回復ポーションだが、こっちが薬師が作ったポーション。で、こっちが錬金術師が作ったポーションだ。錬金術師が作ると普通に作っても薬師の1.2倍の効果がある」
錬金術師!
覗くと同じように見える。やっぱりわからないや。
――『鑑定』を獲得しました。
え? か、獲得した~!!
僕は、早速鑑定してみる。まずは、薬師が作ったポーションからだ。
「鑑定」
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品名:HP回復ポーション小
用途:HPを15回復する。
状態:普通
品質P:10
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鑑定できたぁ!!
嬉しい。
この品質Pって10だから品質ポイントって事かな? 数値化されているんだ。
じゃ、この錬金術師が作ったのはどうなってるかな?
「鑑定」
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品名:HP回復ポーション小
用途:HPを18回復する。
状態:普通
品質P:100
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おぉ。品質Pが100で、回復が18だ。1.2倍ある。
そして鑑定画面が消えても、『HP回復ポーション小』と両方のポーションに文字が書き込まれていた。
薬師のは『HP回復ポーション小(品質P10)』、錬金術師のは『HP回復ポーション小(品質P100)』と品質も書いてある。
一度鑑定した物は、こうやって文字も表示されるようになるみたい。便利だ。
「あの、ありがとうございました」
「じゃ、頑張ってな」
「はい!」
そうだ。粉も見比べてみたいな。青い花を採取して帰ろう。
僕は、森に寄って青い花を一本と黄色い花を5本採取して戻った。




