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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
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破壊の神のホントのところ


  ◇


 神殿の大祭壇へ向かう途中、俺たちはヴァスコーについていろいろ話をした。

 特にサーベイとキリバが興味津々といった感じだった。


「高位神が喋るのを初めて聞いたよ。昔一度、上位のナバライの声は耳にしたことがあったけどねぇ」


「ナバライでも十分すげえよ」


「まあそうかぁ。それにしても、ヴァスコーがこんな感じだったなんて意外だったね」


「愉快そうに話すっては言われても、もっと言葉遣いは堅い感じだったよな?」


「だねぇ。もう少し難しい言葉を使うと思ってたよ」


〈大ーーッ昔は割とそうだったかもナァ。つーかそんなにたくさん人間と会話してた覚えはねぇんだけどな?俺と喋ったことある奴らがあれこれいろんな話を伝えていって、その過程で変化して増えてったってところか。まぁ愉快って部分は間違いねぇけどな!〉


「ていうかさ!さっきよりしゃべり方が落ち着いてない?」


 チカが割り込んだ。


〈んァ?ああさっきはアルミナがあんまり面白くて久しぶりに大興奮しちまって……だーっ!怒るなって!わかった!もう言わねぇから!〉


 ヴァスコーはまたアルミナに睨まれている。


 破壊の神と言うわりにやけに人間くさいというか……アルミナが最高司祭だとは言うが、信者に対する振る舞いとしては少々威厳に欠ける気がする。


 そうか。こういう部分がおとぎ話で伝えられて人々に親しまれているのか。いや、まだ親しまれているかどうかははっきりしないか?


 気になってサーベイにおとぎ話についていくつか聞いてみた。

 迷いの森の樹木を粉砕した話。

 道を塞ぐ大岩を壊した話。

 大洪水が起きたときに地面に大穴を開けた話。

 とてつもなく高い山を壊して崩した話。

 恐ろしい魔王が住む城を壊した話。

 陽神の星を一つ壊してしまった話。


 おとぎ話や太古の時代の物語であるから全てが真実ではないだろうが、ヴァスコーに関する物語には『人を助けるために行った』という部分が共通していた。

 なるほど。これなら破壊神が人々に親しまれるのも不思議じゃないな。


「破壊神って、もっと暴力的で荒々しくて恐ろしいものだと思ってたよ」


 俺が呟くとヴァスコーはカカカと笑った。


〈言っておくがなァ。指輪に宿ってる俺様、アルミナと共にある俺様、高位神本体である俺様を一緒にしちゃいかんぜェ?確かに暴力的で荒々しくは無いかもしれないが、お前らにとっちゃ恐ろしい存在であるのは変わりねェ。物語ではお前らの味方みたいに描かれてるかもしれねェが、それは人間がそう思っているだけ。……かもしれんゼ?〉


「実際はどうなんです?」

 

〈さァてどうだろうなァ?〉


「アルミナ知ってるか?」


〈アッ!お前それは〉


「……ヴァスコーのそういう話にはあまり興味が無い」


「そうか……」

 

〈俺様チョットカナシイゼ〉


 そうこうしているうちに俺たちは再び神殿まで戻ってきた。


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