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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
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ピキリーナ遺跡:成果の確認2


   ◇


 ポーチから例の筒を取り出し、蓋を開けた。

 筒の中には紙が入っていた。スクロールと言ってもいいのだろうが、巻くほどのサイズでもない。


 書かれていたのは白ムジナの遺した宝についてだった。


〈俺の持っていたお宝の中でも特に素晴らしい物は『月白の牙』だ。この短剣は、魔を退け幸運を齎し、決して人を傷つけない神秘の武具だ。俺の仕事を大いに助けてくれた。欲しいと思うならカマルナムに行け。竜の口元に隠してある。ヒヨッコの盗賊君に見つけられるかな?『盗賊白貉より』〉


 たったこれしか書かれていない。


「なんか挑戦状みたいだな。そもそもなんで盗賊がこの紙を読むってわかったんだ」


「ゴーレムのアレで調べたんじゃないの?盗賊が来たら筒を渡すように。仕組みはわからんけどね」


「思い出したくなかった……というか白ムジナってあんなに趣味が悪いのか。それとも同業者への嫌がらせなのか。ちょっとがっかりだ……」


 サーベイは「まぁまぁ。いいじゃないあれくらい」と笑っている。「あれくらい」なのかアレは?


「……で、つまり俺の収穫は『月白の牙』の情報と指輪と、頭に仕込まれた謎の贈り物……って所か」


 今のところ、お宝入手の実感があるのは指輪だけだな。効果もさっきのチカで試してなんとなくわかった。多分、視覚に関する能力やスキルを高めてくれるのだろう。これで探索やら罠の看破やらも前より楽になるはず。「心眼」というだけはあるな。透視なんかもできたりしないだろうか?

 指輪を観察する風を装って自然に体の向きを変え、革袋の中から取り出した金貨や宝飾品の確認作業に没頭しているチカの胸元に注目する。


 透けろ!透けろ!見えろ!……み、見えた!!


 チカの服が透け、豊満な乳房が露わになる。


「あッ!?」


 サーベイの驚いた声にビクッとして視線をそらす。


 まさかバレた?


 声のした方を見ると、サーベイとアルミナが向かい合っている。さっき俺が言ったとおり手合わせをしているようだ。

 あっけなくサーベイがやられたのかと思ったが違うらしい。二人とも地面の一点を見つめて固まっている。


 大きめの木片が落ちている。


 アルミナは地面から視線を移動し、自分の握っている木製メイスの先端を見る。


「……壊れた」


 五人を長い沈黙が包んだ。


 キリバとチカもアルミナの方を見たまま動けずにいる。


 俺も、なんと声をかけたらいいかわからなかった。


〈プッ……ブッハハハハハアハハハハッハーーーッハハハハハハハハッウェッ……ハッ……ハ、ハハハハハハハハ!!〉


 大きな笑い声が響き渡る。

 俺たち五人の誰でもない、初めて聞く声。どこからだ?


〈ああ~~ひっさしぶりにこんなに笑ったぜぇ~~!〉


 声はアルミナの手元、銀色の指輪から発せられていた。


〈おっと悪ぃ!自己紹介がまだだったな。俺様の名は『ヴァスコー』もしくは『ヴァスクォーン』だ!よろしくな!〉


 メ゛コッ。


 アルミナが指輪をしている方の拳を、地面にめり込む程叩きつけた。


〈もごごごっ〉


「アルミナ。そのヴァスコーってのは何だ?」


 拳を地面に突っ込んだまま、アルミナは答えた。


「破壊神」


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