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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
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ピキリーナ遺跡:成果の確認1

 

   ◇


 その場に車座になって俺たちは王の寝所で得た宝を見せ合った。


 アルミナは指輪を選んだらしい。不思議な細工の施された銀色のそれは、意匠こそ手が込んでいるものの地味な部類だ。俺が守衛から貰った指輪の方がまだ派手な方だろう。 だがアルミナは迷わずそれを選んだらしい。何か特殊な効果があるんだろう。


 サーベイが手に入れたのは巨大な宝石だった。テニスボールくらいの大きさがある。というか、どう見ても俺が貰った指輪についてる宝石と同種の物だ。


「それってこれと同じやつか?」


 指輪を見せるとサーベイは頷いた。


「そう。『アルマ・ピキリーニス』っていう宝石だよ。厳密には石じゃないんだけどねぇ。言っておくけど、ヤギリのその指輪の石もめちゃくちゃ大きい部類に入るよ。俺のヤツが異常なだけでね」


「へえ……そういえば、やり残したって言ってたのはその宝石を手に入れることだったのか?」


「……まあ、予定とは違ったけどこれで半分かなぁ」


「もう半分はどうするんだ」


「さぁてどうするかなぁ。ひとまずは一度帰って用を済ませてからだな」 

 

「そうか。……で、お前達のはそれは……」


 キリバとチカはどちらも同じ物だった。

 スイカを二玉ほど入れられそうな大きさの上質な革の袋だ。ただ、中身はスイカではなく、大量の金貨や宝石だった。

 チカはともかく、キリバがそういう宝らしい宝に手を出すのは意外だった。

 後で聞いた話だが「傭兵としての装備は白ムジナの連中から貰ったので十分すぎて、寝所で提示された物の中にそれ以上の物はなかったから、無難に金目の物にした。どのみちこれから傭兵としてやっていくために金がかかるだろうしな」とのことだった。

 

 チカも「当分の間の旅の費用が必要だし!」との事だが……。


「お前ならもっと魔砲の火力底上げとか手数を増やしたりする為のアイテムとかを欲しがると思ってたんだけどな」


「もちろん!それなら神殿で……」


「神殿で……?」


「なんでもないです!」


「ほう……?」


 俺は試しに心眼の指輪を左手の人差し指に装着してみた。


「神殿で何か手に入れたのか?」


「ななな~にを言ってるのかなヤギリ氏~?私はずっと眠ってたんですぞ~?」


「いや、途中から寝たふりだったんだろ」


 怪しい。


 そう思いながらチカの全身を舐め回すように見ていると、何かが白く光って浮かび上がった。

 俺は迷わずチカの身体に触れてスリを実行した。『???』と表示されたそのアイテムを盗むのは秒数を気にする必要が無いくらい余裕だった。

 手に握ったのは、呪文が刻まれた木札のようなものだった。


「で、これはなんだ?」


 チカが、やられた!という表情をする。


「あ!ドロボウ!!」


「はい泥棒でーす。返してほしければこれが何なのか教えなさい」


「ぐぬぬ……。そ、それは、私の杖の強化に必要なアイテムの一つなのです……」


「なんで隠そうとしたんだよ」


「……だって、私神殿で何もしてないのにお宝手に入れちゃったら何か言われるかと思って……。たまたま背負ってもらってる時、手の届く台の所にそれがあったからこっそりと……」


「何言ってんだか。お前がそんなこと気にするような性格には見えなかったけどな?それに、神殿じゃアルミナ以外特に何も仕事してなかっただろ?メイスくらいしか俺達にとって有用なものは無かったけど、だからってチカが遠慮しなくてもいいよ」


「や、ヤギリ氏……!感謝しますぞ……!」


 それはいいんだけどチカのこの喋り方はどうにかしてほしい。せめて公衆の面前だけでも……。


「で、手に入れたもんはこんな所か?俺はさっき見せた指輪と、あとは王の霊が俺の頭ん中に何か仕込んだくらいか」


 アルミナが眉の端をピクリとさせる。


「頭に仕込まれただと?どういうことだ」

「安心してくれ。攻撃されたわけじゃない……たぶん。なにか俺にとってすごく役に立つものだって言ってたからな。詳しい事はなんにも教えてくれなかったけどな」


「なら、いいが」


「てーかヤギリ。もう一つお前手に入れただろ」


「え?」


 キリバに指摘されてもぱっと思い浮かばない。


「え?じゃねーよ。神殿のゴーレムから出てきた変な筒みたいなのあるだろ」


「あ、ああ~……」


 完全に忘れてた。


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