メインクエスト:小目標『墳墓を攻略せよ』12
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アルミナが王の寝所へと入ってから程なくして、台座の結界が解けたサーベイが後に続き、数分でチカの番が来た。そこから随分時間がかかってからキリバが寝所へと向かった。チカ程ではないが結構待つことになり、やっと俺の台座の結界が解ける。
扉の奥へ行こうとした時に、横に控えていた衛士が手を出して〈待て〉と言った。
「な、なんだ?俺は入っちゃ駄目なのか?」
〈そうではない。これを〉
衛士は茨の剣を鞘ごと差し出してきた。
「これを、どうしろと」
〈そなたにくれてやる。持って行け〉
「どうして?」
〈我から武器を奪って試練を制する者がいたなら、試練の後でその者に剣を授けよと命じられているのだ〉
「一体誰がそんなことを」
〈この墓所で我に命じることができる者と言ったら決まっておろう〉
「ピキリーナの王が……?」
〈理由を知りたければ王が答えてくれるだろう。我はただ、渡すように言われただけだからな〉
「そうか。わかった」
剣を受け取り、先へ進む。
なんとなくだが、衛士は内心この剣を渡したくなかったのではないか?
少し未練があるような視線というか気配のようなものをうっすらと感じたのだ。
『王の寝所』という名の通り、その部屋は歴代のピキリーナ王の遺体の入った棺が安置されている。直前の衛士の間とは比べものにならない広さの部屋だ。部屋自体の材質こそ同じもののようだが、彫り込まれた複雑な文様や、遺体が入っているとは思えない程清潔で洗練されたデザインの棺、高価そうな燭台や壺、さまざまな調度品など見ると印象は全然違う。王族の偉大さを示す為のありとあらゆるものがあった。
広い部屋の中央を伸びる通路以外には棺が整然と並んでいる。奥の一段高くなった所にもいくつか棺があり、その周囲には金銀財宝や、宝が入っていると思われる長い櫃のような物がたくさん置かれている。
通路の真ん中あたりで部屋を見渡し、呆然とする。
こんなに広くて立派な墓所を地下に造るなんて、すげえな古代の人は。どれだけ高度な技術を持ってたんだ?
〈そんなところでボーッと突っ立ってないで早く来い〉
感心していると部屋の奥から声が聞こえた。
あの一段高くなっているところからだ。
「え~と、どちらさまですか?」
〈この墓所に眠るのは王のみぞ。わかっているだろうに。なんだ、警戒しているのか?ここまでやって来て今更怯えることもあるまい。いいから早く来い〉
奥の段の上にある棺の内の一つ。右端のそれの前で青白く光る、人の姿をした何かが手招きをしている。王族の霊が、俺を呼んでいた。
何故だかわからないが、話し方から微妙に親しげな感じが伝わってくる。気のせいだろうか。
段差を昇り、青白い光の前まで行く。すると王族の霊は〈ほぉ……〉と感嘆の声を漏らした。
「な、なにかご用でしょうか?」
〈いやなに。あれだ。不思議というか、面白いというかな……〉
「はい……?」
〈いや、気にするな!それより、ご用も何も試練を乗り越えたのだから褒美をやるに決まっておろう!通常であれば其方には低級の櫃から宝を選ばせるところであるが、寝所の守衛から武器を奪った者には、余から特別の物を与えることになっている〉
「特別な物」
〈大いに其方の役に立つ物だろうよ。ほれ、もう少しこっちに寄れ。そして目を閉じろ〉
「はい……」
なんだろう。不意打ちでも仕掛けてくるんじゃないだろうな。
ズボッ。
ん?
頭に何か入ってきたような感覚がする。痛みは無い。
〈よし終わったぞ〉
目を開けると、王族の青白い霊体が何事もなかったように立っている。
「ええと、褒美はどうなったのでしょう」
〈今やったではないか〉
「まさか……俺の頭に何を……!?」
〈それは開けてみてからのお楽しみだのう〉
開けてみてからとは!?
〈そう心配そうな顔をするな!其方に不都合のあるようなものではない。とんでもなく便利な物だから、大丈夫だ!外に出てから試してみればよい!〉
「どのようにして試せばいいのでしょう?」
〈それも外に出ればわかる。おっと忘れる所であった。お前が持ってるその茨の剣!それはただの目印だ。守衛から武器を奪った人間だと余がわかるようにな。このまま持って行っても良いが、もし使い道が無いなら守衛に返してやってくれ。あの者にとって大事な物であるからな。まあ、其方が良ければだがな?では、余は寝る。気が向いたらまた来るがよい〉
言いたいことだけ言って王族の霊はさっさと消えてしまった。
しばし立ち尽くし、ふと茨の剣を見る。
「あの言い方は絶対返したほうが良いパターンだろ」
キリバにでもくれてやろうかと思ってたんだが、仕方ないな。




