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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
77/93

メインクエスト:小目標『墳墓を攻略せよ』11


   ◇


「今からでもチカと交代できないかなぁ~一撃の威力を考えたらここは絶対逆にすべきだよ」


「私はどこでもいいですぞ!」


「いや、交代はさすがにできないだろう。自分の番まで動けないし」


「困ったなぁ。今の衛士の動きから見るに、俺の番には結構苦戦しそうだぁ」


「サヨを一人分として台座に乗せてチカと共闘するという手もある」


「もしそれが可能ならありがたいね」


 俺たちが相談している間に、キリバは衛士(ガーディアン)を倒していた。「弱くはないけどやりやすかった」だそうだ。

 続くチカの戦いは、意外にも決着が長引いた。

 一段階強化された衛士はチカの魔砲を容易に盾で弾いたからだ。「あまり強い威力で撃つな」と俺が注文したことも要因ではある。

「もっと強く撃っていいでしょう!?」とチカは我が儘を言ったが「駄目だ!うまく動いて当てろ!」と却下した。なんだかんだ文句を言いながら、動きの速くなった衛士の攻撃をギリギリで躱しつつ、チカはアクロバティックに近距離の砲撃を放つ。浮遊を駆使した死角からの一撃は衛士を勢いよく吹き飛ばした。

 サーベイの台座から赤い光が消える。


「いよいよ俺の番だねぇ」


 チカのフードに隠れていたサヨを抱きかかえ台座に持っていき、俺も定位置に戻る。が、反応は無い。


「……サーベイ。やっぱり駄目らしい」


「仕方ないねぇ」


 察したサヨが台座から下りてくる。しかし、サーベイには近づかず、台座の陰に隠れて伏せている。


「おっさんにくっつくのは嫌なのかなぁ」


「すまない。気を悪くしないでくれ」

 

「ははは。いいのいいの」


 サーベイは手をぶらぶらさせて「ほら、台座に乗って」と促す。


 いよいよ三段階目の衛士だ。死ぬなよサーベイ……。


 台座に乗り、再び赤い光に包まれる。


 衛士の圧力が、増した。


 サーベイが剣を抜き、しっかりと両手で構える。

 

 衛士が盾を構えて突進してきた。


『獅子奮迅相:鎧崩し』 


 同じく突進の体勢だったサーベイから覇気が飛び、衛士の構えた盾をわずかに外側へ反らし、勢いも弱らせた。


『通し斬り』 


 それは二つで一個の技だった。

 シールドバッシュを思わせる覇気の瞬発を乗せて、流れるような、飛び込むような斬撃が衛士の右肩から入って衛士を叩き貫く。


 猛烈な一撃は鎧に阻まれ、決定打にはならないように見えた。……が。


 衛士がよろめき、サーベイはすかさず足下に滑り込んだ。スライディングしつつ、衛士の右足を太ももに挟み込んで身体を捻り転倒させ、自分は勢いを利用して起き上がり、剣を衛士の喉元に突きつける。


 どこが「苦戦しそう」なんだ。あまりに鮮やかすぎて拍手をしてしまった。


「見事」


 賞賛の言葉を発したのはアルミナだが、衛士も同じ事を呟いたような気がした。


「ようやく、だな」


 光の消えた台座からアルミナが跳躍し、倒れた衛士の前に着地する。「おっとと……そんじゃあとはよろしくぅ」とサーベイは空いた台座へと登っていった。


「さあ立て衛士。次はワタシだ」


 衛士がゆっくりと立ちあがる。そして、剣を構えるかと思いきや……。道を譲るように扉の脇へ下がり、剣を垂直に床に立て、姿勢を正した。

 

「何の真似だ?」


〈汝とは戦うに及ばず〉


 脳に直接響くような声が衛士から放たれる。


「それでも戦士か」


〈我は戦士にあらず、衛士なり。汝の力は我が試練で測れる限度を超えている。即ち、既に条件を満たしているのであるから、戦う必要は無い〉


「ふん……」


 アルミナは不服そうだが了承したようだ。


〈試練を乗り越えた者達よ。上座の者から一人ずつ『王の寝所』へ行け。まずは汝からだ〉


 アルミナは衛士の指示に従い扉の奥へと入っていった。


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