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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
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メインクエスト:小目標『墳墓を攻略せよ』8


   ◇


 ここの扉は押して開ける単純なものだということはわかった。それ以外に変わったことはない。となると、後は倒れて残ったままのトロールを調べるしかない。


「いきなり動き出したりしないだろうな」


 キリバが不安を口にする。

 

「危険だと思うなら離れていればいい」


 アルミナの台詞は嫌味ではない。


「俺は別にいいんだよ。ヤギリは大丈夫なのかって事だよ」


「俺か?ヤバいと思ったらすぐ逃げるさ。それに、これは、もう、起きない、だろう」


 横たわるトロールの頭蓋骨をどかそうと踏ん張りながら答える。

 それを見たアルミナは「かわるぞ」と言ってあっさり巨大な頭蓋骨を横に移動させた。


「ありがとう」


「それで、何をしたいんだ」


「ほら。そこの床に穴があるだろう?何かを挿し込めそうじゃないか」


 ちょうど部屋の中央にあたる部分だ。トロールとの戦闘中には注視しても気づかなかった。ならトロール撃破後に有効になったということ。ここに何かを挿し込めば扉が開くと思う。


「何かって何だろうねぇ。トロールは何も持ってないみたいだけど」


「あの棍棒とかじゃないかな!」


「いやデカすぎるだろ」


「チカの杖の石突きとか入らないか?」


「それで開いたらおかしいだろ」


「ならこれはどうだ」


 アルミナがおもむろに儀礼用メイスを取り出して先端の部分を床の穴に挿し込む。メイスの三分の一程が違和感なく収まったところで、部屋に微かな振動があった。。

 まるで、メイスと部屋が接続された事を示すかのように思えた。


 アルミナを見る。向こうも何か感づいたようだ。

 鍵を回すようにメイスの持ち手を捻る。

 部屋が大きく振動し、扉から「ガコッ」という音がした。


「おっ。開いたんじゃないか」


 俺がそう呟くと同時に、倒したはずのトロールスケルトンが急に動き出した。咄嗟にアルミナの手をつかんでその場を離れる。

 動き出したトロールはこちらに目もくれず、部屋を一周しつつ勢いをつけて扉めがけて真っ直ぐ突進した。

 破壊してしまうかと思う程の強烈な衝撃を扉に与えながら、四肢をなくしたトロールはどこかへと行ってしまった。


「これで先に進めるな」


「いやちょ~っと待ってね。これ、さっきの大蛇の事を考えたら同じ方向には行かない方がいいんじゃない?」


「じゃあどうする?」


 アルミナがメイスを引き抜く。すると、再び部屋が振動し始め、どこかが断続的に動いている感じの音もする。 


「おいヤギリあそこ」


 キリバが指さす方を見る。 


 壁際の床の一部が沈んでいる。近くで確認すると、そこは下層へ続く階段のように変化してている。


「随分と凝った仕掛けだよな。神殿の時から思ってたけどよ、こんな遺跡を作る技術が大昔にあったっていうのが信じられねー」


「同感だ」 


 俺もキリバと全く同じことを思っていた。


「今でもなかなか難しいと思うね~これは」


「いや。やればできる。作る必要があればだが」


「そうなのか?」


「少なくとも、魔て」


 アルミナ!


 咄嗟に強い視線を送る。アルミナも直ぐに気づき、軽く咳払いをする。


「……技術は残ってる。秘匿されているだけで」


「アルミナちゃんなんでわかるの?」


「そういった技術を秘匿している家系の出だからだ」


 アルミナが危うく『魔帝国』という単語を出しそうになりヒヤッとしたが、うまく誤魔化せている。ただ、技術を秘匿しているというのはあながち嘘ではなさそうだ。


「そういう長くなりそうな話は後にして、まずは先に行こう」 


 俺はそう言って最初に階段を下り始めた。


「先頭は私だ」と、アルミナがすぐに追い抜いて行った。



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